ナバラ州立大学 国際文化学科3年 松本玲奈<2号 2023年11月~12月>

新年から日本では地震や事故、火災が相次いでいるとお聞きしています。被害に遭われた方々には心からお見舞い申し上げますとともに、少しでも早く日常の生活に戻れることを祈っています。今回の令和6年能登半島地震から、当たり前の事ではありますが、SNSを開くまで全く情報が入ってこない恐ろしさを強く実感しました。

今回の定期報告では学期末試験や引っ越し、経験した少し怖かったこと、発見した新たな自分の側面について書いていこうと思います。

学期末試験

私は英語とスペイン語の授業を履修しました。スペイン語のクラスでは、筆記試験、スピーキングのテストがありました。私はとにかくスピーキングのテストが心配だったのですが、留学生同士での会話で現地の人ほど早口ではなかったので何とか突破することができました。英語のクラスでは大学の中にあるパソコンルームでwriting, reading, listeningなどのいくつかのセクションを行いました。また、別日に指定されたペア同士で会話をするディスカッションのテストもありました。通常英語の授業は水曜日、金曜日に行われていたので期末テストもその曜日に行われるものだと思っていたのですが、期末テストだけ曜日がずれてスペイン語の期末テストと同日になっており、私はそのことに当日の朝気づきました。英語よりもスペイン語の方が自信がなかったので、前日はずっとスペイン語を勉強していたこともあり、当日はとても慌ててしまいました。シラバスに書いてあるスケジュールはよく変更されるので、お知らせの欄や評価基準の欄を何度か確認しておくと良いと思います。どちらのクラスも筆記試験の日程とスピーキングのテストが別日で、期末テストは二週間かけて行われたのでとても長く感じました。

虹

引っ越し

年末にかけて少し下がってきましたが、やはり円安の影響で生活費が厳しいということを理由に寮を出てピソ(シェアハウス)に引っ越すことに決めました。全体の流れとしてはピソの管理人へ連絡する⇒内見する⇒(内見中に)ここに決めたいという意思を伝える、というものでした。私がピソを探したのは「Idealista」というアプリです。このアプリでは、掲載されているピソの管理人へ直接メッセージを送ったり、電話を掛けたりすることができます。私は電話でスペイン語を話すことに自信がなかったのでテキストで、留学生でスペイン語がまだうまく話せないがそのような人も受け付けているか、という事を気になる物件に片っ端から送りました。スペインでは、掲載されていても既に入居者が決まっていたりすると返事が返ってこないことがよくあるので、返信がない物件のことを気にする必要はありません。中には学生お断りというところも多くあったので、きちんと入居者条件を確認しておくとスムーズに話が進むと思います。また、大体の物件が六か月以上の滞在が条件としており、変に急いで決めてしまうと後々トラブルになる可能性があるので、内見時にしっかりと確認することをお勧めします。

私が内見中に驚いたのはドアの仕組みです。寮では日本でも見るような普通のドアノブだったのですが、私が内見に行った場所は玄関の外側のドアノブがドアの真ん中についているタイプのものでした。結局引っ越し先はそこに決めたのですが、慣れるまでに少し時間がかかりました。

Idealista
Idealista
ドアノブが真ん中についているドア
ドアノブが真ん中についているドア

生活

こちらで過ごすのも慣れてきて、友人と外食に行ったり、一人で買い物ついでに散歩をしたりと外出する機会が増えました。街中や大学で出会う人々はとても良い人ばかりですが、一人で歩いているときやアジア人の友達と歩いているときに、たまに大声を出しながら一瞬だけ近づいて驚いている姿を見て笑う人もいます。私も何回か経験しました。もちろん大人の人でそれをやっている人は見たことがないのですが、残念ながら一部の男子中高生がたまにそういうことをしてきます。こちらの中高生は背が高く子供だとわかっていても急に近づかれたり大声を出されたりすると少し怖いですが、お年頃だなぁ、という気持ちで温かい目で見ています。一人の時はヘッドフォンやイヤホンをしながら歩くと安全かもしれません。軽率に差別という言葉を使いたくはありませんが、悪意を持って近づいてくる人はどこにでもいるのだと実感しました。少し怖いことを書いてしまいましたが、本当に街の人々は紳士的ですし差別的なことも上記の例を除けば私は感じたことがありません。しかし、こういった人々の存在を実際に自分の目で見て感じたことは、他者と関わる上で大切なものだと思うので忘れずに生きていきたいと思いました。

発見

スペイン語の他にも留学生同士で話をすると様々な言語に触れますが、その中で私は日本語がとても好きになりました。今までは日本語に何の感情もありませんでしたが、日本語の風景描写に魅力を感じ、最近は川端康成さんの小説をよく読んでいます。こちらにもとてもきれいな風景の場所が沢山ありますが、現地に行って実際にその風景を見るより、日本語で描写されているその風景を頭で浮かべる方が好きな自分に気づきました。まったく旅行に向いていない気質で、親にはもったいないと言われましたが、他言語に囲まれた環境の中だからこそ気づけた新しい自分の側面だなと感じます。

スペイン語にまだまだ自信がない私ですが、こちらに来たばかりの八月、九月の日記を見返してから考えると確かに少しずつ成長していることが実感できました。また二か月後に自分の日記を見て成長が感じられるよう日々努力していこうと思います。

クリスマス時の市街地
クリスマス時の市街地