入学式

4月4日(水)山口県立大学講堂(桜圃会館)で「平成30年度山口県立大学・山口県立大学大学院入学式」を執り行いました。学部生・大学院生・別科生合わせて359人が、本学に入学しました。

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学長式辞

平成30年4月4日
山口県立大学学長
加登田 惠子

式辞

 本日、山口県立大学 及び大学院、別科助産専攻に入学された359名の皆さん、ご入学、誠におめでとうございます。
 山口県知事 村岡嗣政さま、全国都道府県議会議長・山口県議会議長 柳井俊学さま、をはじめとするご来賓のみなさま、ご列席の副学長、部局長、理事、ほか全教職員とともに、皆さんの入学を、心よりお祝い申し上げます。
 同時に、皆さんを慈しみ、支えてこられましたご家族や関係者の皆様に、お祝い申しあげます。
 本学の所在する桜畠という地名どおり、キャンパスの桜の木々も皆さんの新たな学びの場へのデビューを、歓迎するかのように咲き誇っております。

 山口県立大学は、1941年に「山口県に女子高等教育機関を作りたい」という県民の皆さんの熱き思いを受けて創設され、77年の歴史を誇る、山口県唯一の「県立大学」です。
 1994年に、大幅に改組転換し、共学化した際に、校是として「人間性の尊重」「生活者の視点」「地域社会との共生」「国際化への対応」の4つを掲げました。
 この4つの校是は、開学以来培ってきた、優しく温かい人間性の涵養や「生活者」という視点からの実学の尊重といった「女子高等教育の美徳」に、21世紀のグローバル化する現代社会へ対応を融合させ、今後、男女が恊働して追求するテーマとして掲げられたものです。そして、その理念にそって、国際文化学部、社会福祉学部、看護栄養学部が開設され、さらに大学院が設けられました。
 以来、地域のニーズに応えることのできる「地域貢献型」大学として、県民の健康福祉や文化の分野で活躍する人材を多く輩出してきました。
 今、世界は、国同士の対立構造が複雑化し、各地で紛争が勃発したり緊張関係が強まっています。また地球環境の悪化は加速化し、未曾有の災害が頻発し、さらに金融危機は人々の生活を根底から脅かしています。そして、それらは遥か遠い国の出来事ではなく、グローバル化が進んだ現在では、私たちの身近な生活に直接的な影響を及ぼすようになってきました。
 他方で国内では、少子高齢化の進行や人口減少、地域間格差の拡大を背景として「地方創生」が国家的課題となってきました。中でも、山口はまさに高齢化の先進県であり、さらに急速な人口減少が予測されている地域です。
 このような状況に直面し、本学が掲げてきた4つの校是から発するところの「人間らしい長寿の生活とは何か」「激化するグローバリゼーションにどう付き合うか」「持続可能な地域社会をどう守るか」という問いかけは、ますます重要性や緊急性が増して来たと言えます。

 しかし、これらの大きな課題は、一朝一夕に解決するものではありません。決まりきった「正解」は未だどこにも無いのです。当事者として、みんなで学び合い、知恵を出し合い、クリエイティブに様々な挑戦を重ね、一歩一歩、地道にきり拓いていく必要があります。
 先頃、私どもは、今後6年間に大学が展開する事業として「第3期中期計画」をまとめました。そこでは、今まで以上に教育・研究機能を強化し、さらに、地域社会との連携を深め、「地域に不可欠の大学」へと存在感を高める必要があることを確認しました。さらに、それへ取り組む姿勢について、スローガンを、本学のオリジナルの言葉である「大地共創」と表現しました。
 大学の「大」と地域の「地」が、共に創造する創」と書きます。「大地共創」とは、大学と地域が単に交流するだけでなく、大学が知の拠点、地域の拠点としての機能を果たし、地域社会の将来を、一緒に切り拓きたい、創り出したい、という意志の表明なのです。
 そこで、学生のみなさんには、本学での学びを通して、「地域の未来を拓くリーダー」としての力を養っていただきたいと期待し、そのための環境整備に努めたいと考えています。

 では、地域の未来を拓くためのリーダーの要件は、何でしょうか?
 私は、「国際性」 と 「地域実践力」であると思います。
 山口県立大学の学生のみなさんには、学部を問わず、専門性の基盤としてこの二つの力を身につけていただきたい。
 国際性と地域実践力を備えた、将来の県立大学生の活躍イメージを挙げてみましょう。例えば、それは、これから増大する外国人の患者や利用者に対応出来る看護師やソーシャルワーカー、国際的視点をもって地域の歴史や文化を再発見し、どんどん海外に発信できる地域観光機関等の職員、地産地消の食材に、新たな食文化や健康機能を考案できる在宅管理栄養士・・・。
 また、教員を目指す人は、豊富な地域文化の知識や実際の体験を踏まえ、中学・高校生に生き生きとしたアクティブ・ラーニングを実践できる教員になるでしょう。こういった人財が続々と地域に輩出されることによって、山口の人々の「生活の質は高まり」、「高齢者の健康寿命は延伸」し、地域は大いに活性化するのです。
 もちろん、今あげた例だけが、答えではありません。学生が、柔軟な発想を生かして、新たな活躍の場を創出することができるかもしれません。
 地域の人々は、これまでの県立大学の卒業生の誠実な仕事ぶりを高く評価して下さっていますが、それに続く皆さんにも、さらに大きな期待が寄せられることでしょう。

 新入生の皆さんは、色々な夢や希望をもって大学に入られたことと思います。しかし、中には、「いや、まだ漠然として迷い中である」という方も居られるかもしれません。
 是非とも、この4年間、あるいは大学院等におけるそれぞれ修学期間には、単に国家試験の合格だけを目標とするのではなく、様々な事に知的好奇心をもって、どのような地域課題の解決にチャレンジする人材になりたいか、どのような働きをする専門職を目指すのか、どのような新しい仕事にチャレンジする人になりたいか、そして、何よりも、どのような社会人になりたいか、について、しっかり悩んでいただきたいと思います。
 そういう、各人の人生の目標や価値をつかむために、じっくり悩む事を恐れないで欲しいと思います。
 しかし、悩む際には、上手に悩むことが大切です。
 インターネットの発達した現代、自分が関心のある情報を得るだけが目的であれば、部屋に閉じこもって、ひたすらパソコンと向き合っていても用は足りるかもしれません。ただ、自分の論理だけで悩みを解決することはたやすくありません。
 一方、大学は教職員と仲間がいる「学び舎」です。そして地域には、人生の師匠が沢山おられます。そういったリアルな人々との出会いと触れ合いの中から、自分でも気づかなかった自分を発見し、自分がネットで検索しない別の観点から情報刺激を受け、時には落ち込んだり、しかし励まされたりしながら、そうやって「新たな自分を創っていく」のです。
 本学は、大規模な大学ではありませんが、温かく、家庭的な雰囲気と親しい人間関係は定評があるところです。また、教室の中だけでなく、地域のフィールドワークや、海外留学プログラムも豊富に用意されています。どうか、自ら求め、自分の可能性を広げてください。

 最後に、新入生へのはなむけとして、1998年、美智子皇后が「国際児童図書評議会ニューデリー大会」で基調講演をされた際の言葉を、送りたいと思います。本文は、子どもたちが本と出会い、読書することの意味について語られた最後の一節ですが、「なぜ、大学で学ぶか」と置き換えても意味深いと思います。

 子ども達が、自分の中に、しっかりとした根を持つために、
 子ども達が、喜びと想像の強い翼をもつために
 子ども達が、痛みを伴う愛を知るために、
 そして、こども達が、人生の複雑さに耐え、それぞれに与えられた人生を受け入れて生き、やがて一人一人、私ども全てのふるさとであるこの地球で、平和の道具となっていくために。

 終わりに、本日ご列席の皆様のご多幸と、今後のご活躍を祈念し、私の式辞といたします。