卒業式


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 3月15日(水)、各学部・研究科・別科ごとに学位記授与式が執り行われました。卒業生・修了生合わせて319名が、本学を旅立っていきました。

式 辞

令和5年3月15日
山口県立大学学長
田中 マキ子

 ただ今、国際文化学部国際文化学科65名、文化創造学科59名、社会福祉学部社会福祉学科99名、看護栄養学部 看護学科49名、栄養学科47名、合計319名の学部卒業生の皆さんに卒業証書及び学位記を、大学院国際文化学研究科 修士課程10名、健康福祉学研究科前期課程6名、健康福祉学研究科後期課程3名、合計19名の大学院修了生の皆さんに学位記を、さらに別科助産専攻11名の皆さんに修了証書をお渡ししました。

みなさんの門出を祝し、山口県副知事 平屋隆之さま、山口県議会議長 柳居俊学さまのご臨席を賜り、学位授与式を挙行できますことは、本学にとりこの上ない喜びでございます。卒業生・修了生の皆さん、改めてご卒業おめでとうございます。

 この席に、皆さんを支えてこられたご両親やご家族の皆さまのご臨席は叶いませんが、山口県立大学教職員を代表して心よりお祝い申し上げます。

 さて、本日、ご卒業されます皆さんは、2019年に入学され、2020年、2021年、そして2022年と、大学生活の大半がコロナ禍での状況となりました。これは未曾有の災禍と言っても過言ではありません。世界じゅうで経験したこの災禍は、私たちに何をもたらしたのでしょうか。堪え・忍など、「困難にぶつかっても、しなやかに回復し、乗り越える力」というレジリエンスを一層高めることを刺激したのではないでしょうか。一般的には、レジリエンスが鍛えられると、仕事の失敗や責任などでストレスがかかっても心の健康を保ち、ストレスを自分の成長につなげる力が身につくと考えられています。レジリエンスは、人として、社会人として必要なスキルとも言われ、人生を豊かにするための土台とも言われます。苦しかったコロナ禍は、人生を豊にするとはどういうことなのか、私たちに問うたのかもしれないと考えます。

コロナ禍も一例と言えますが、これからも続く予測不能な激動の時代を、どのように生き抜いていけば良いのでしょうか。アドラー心理学を紹介する書「嫌われる勇気」の中に、このような一文があります。「過去にどんなことがあったかなど、あなたの「いま、ここ」にはなんの関係もないし、未来がどうであるかなど「いま、ここ」で考える問題ではない。「いま、ここ」を真剣に生きていたら、そんな言葉など出てこない。」とあります注1)。アドラー心理学の肝になるのは、「課題の分離」と言われ、他者の評価はコントロール不可能であるため、そういった事にとらわれるのではなく、自分のやるべきことに集中しようとする考え方と言われます。時間は、取り戻すことができません。故に、一瞬・一瞬を大切にし、いま、ここでしなくてはいけない事を熱心にすることが、いかなる状況にあっても、輝く未来を切り拓く鍵になるのではないでしょうか。

複雑な世界情勢を容易に変えることは難しいですし、環境問題を解決するにも、たくさんの課題があります。だからこそ、みなさんが、大学生活を通して培われた、個々異なる感性・知識・問題解決能力を融合させ、大きな力に変えて対応していかなくてはいけません。その核になるのは、絶対無二である皆さんの煌めく個性です。いかなる状況にあっても「見失なわず」「あきらめず」そして「粘り強く」、個々違う個性を武器に「いま、ここでしなくてはいけない事に集中」して下さい。この事は、きっと、みなさんお一人おひとりの;煌めき、輝ける生活・人生に繋がると考えます。そして、「あなたがいてくれて良かった」「あなたになら任せられる」と評価される存在感を放ってください。

みなさんは、ここ山口県立大学において、個性豊かで煌めく存在となれる修学の過程を経てこられました。山口県立大学の卒業生として、胸を張って、「いま、ここ」に精一杯のエネルギーを注ぎ、社会で・みなさんの人生においてイキイキと輝く姿をいかんなく表現して欲しいと願います。

もしも、疲れた時には、母校に戻り、この穏やかで優しさがこだまする学舎で癒され、第一線へ戻って行って下さい。山口県立大学は、みなさんの応援団としてあり続けると共に、皆さんと共に頑張っていきます。

さあ、光輝く無限の可能性を秘めた世界へ、大きな翼を広げ、飛び立って行って下さい。ご卒業おめでとうございます。

註記
1)岸見一郎、古賀史健著「嫌われる勇気」ダイヤモンド社、2015年;頁271