曲阜師範大学 国際文化学科4年 枌野初音 <3号 2023年7~8月>

1. はじめに

期末テスト後の2ヶ月間の夏休みも終わり、新学期が始まりました。今回は、夏休みの寮や大学の様子、夏休みの過ごし方と高速鉄道の乗り方、中国で過ごすにあたって便利なアプリについて紹介したいと思います。

2. 夏休みの校内・寮内の様子

中国の夏休みは日本より1ヶ月早めに始まり、今年度は6月22日から8月27日まででした。

夏休み期間に中国の学生は、実家に帰省する人がほとんどで、留学生もロシアやベトナムなど比較的中国に近い国の人はほとんど帰国しました。そのため校内や寮内はとても静かで少し寂しく感じました。普段開いている食堂も夏休み期間になると閉まり、外に買いに行くか自炊をしなければなりませんでした。私は7月に中国で夏休みを過ごし、8月は帰国しました。

3. 夏休みの過ごし方

7月の1ヶ月間は中国国内を実際に見て回りたいと思い、主に山東省を中心に多くの場所を訪れました。何カ所か訪れた場所について紹介します。

<済南>

当初は、中国の友人と県大の留学生との3人旅になる予定でしたが、中国の友人がコロナウイルスに感染してしまったため、急遽日本人2人での旅行になりました。済南は山東省の省都で、曲阜東駅から高速鉄道を使い、30分ほどで到着する比較的近いところです。泉が有名なところで、「趵突泉」や「大明湖」などがあります。観光地が集まっているため、一日でまわることができます。

目的地に向かうためにタクシーを呼んだ際、間違った場所に呼んでしまい、運転手と電話で話さなければならない場面がありました。電話でのコミュニケーションが難しく、困ったので、近くに居た警備員の方に代わりに伝えていただきました。海外で見ず知らずの人に頼るというのは危険性もあることですが、頼らなければならない場面も留学生活中は必ず出てきます。警備員や警察、職員などに頼ると安全に解決できると思います。

趵突泉
(趵突泉)
ショッピングモールにあった回転寿司
(ショッピングモールにあった回転寿司)

<尼山>

曲阜市にある尼山は孔子の誕生の地とされ、「孔子庙」や「尼山书院」などの建物の他に、孔子の大きな像もあります。さらに週末の夜は、水と花火を使ったショーが開催されます。曲阜師範大学からタクシーを使い、40分ほどで着く近い場所に位置しています。

尼山での1枚

<青岛>

青島も山東省の一部で、海がきれいなことで有名です。曲阜市からは少し遠く、高速鉄道で2時間ほどかかります。

以前、山口県立大学に交換留学に来ており、チューターの縁で知り合った中国の友人2人と県大の留学生の2人の計4人で1泊2日の旅行に行きました。中国のことがよくわかっている友人が一緒に居るのは心強く、おいしい店を予約してくれたり、事前に観光するルートを決めておいてくれたりと申し訳ないぐらい頼ってしまいました。

ホテルの予約も友人が取っておいてくれたのですが、そこは外国人が泊まることのできないホテルだったらしく、当日の夕方に急いで代わりの宿を探しました。中国の旅行予約アプリ(「携程旅行」や「去哪儿旅行」など)を使うと外国人が泊まれないことがあるため、電話で確認するか、「Trip.com」などのサイトで載っているかどうかを確認してから予約を取るべきでした。

中国の友人とご飯
(中国の友人とご飯・青島ビール博物館)
青島ビール博物館

<泰安>

泰安は山東省にあり、高速鉄道を使うと20分で着きます。泰山という有名な山があり、私は以前行ったことがあるため今回は登りませんでしたが、入山料を払って登山することができます。

2019年に県大の短期語学文化研修で出会った中国の友人と4年ぶりに再会しました。まさかもう一度会えるとは思わず、連絡を取り続けることで、縁を大切にしてきてよかったと感じました。友達の家に呼ばれ、家族と一緒にお母さんの手料理を食べるという貴重な経験もできました。

また泰安には大きめのショッピングモールがあって多くの店が並び、服や物を買うのによい場所です。

ショッピング街
(ショッピング街・泰山)
泰山

旅行以外には、留学生の友人達と一緒にホームシアターに行ったり、スイーツを作ったり、火鍋を作って食べたりして日々を過ごしていました。その間に仲良くしていたベトナムの友人が留学を終えて帰国していまい、悲しくもありました。

ホームシアター
(ホームシアター・火鍋)
火鍋

4. 高速鉄道

日本の新幹線にあたる高速鉄道は、日本と比べて非常に安く、半額ぐらいの値段で乗ることができます。

日本とは乗車までの手順が大きく違い、中国に来た当初は困惑することが多かったです。最初に高速鉄道駅に入るために身分証の確認と手荷物検査が行われます。飲み物を持っている場合は、その場で飲んで安全を証明する必要があります。そして駅構内では改札口があり、日本のようにいつでも入れるのではなく、各駅の決められた時間から入場が始まり、列車が到着する5分前には改札口が閉められます。曲阜師範大学の最寄り駅である曲阜東駅では、列車が来る10分前に入場が始まり、5分前には閉められ、入場時間が5分間しかないため焦りながらいつも改札を通っています。その上、改札には自動改札口と有人改札口があり、私たち外国人は1つしかない有人改札口を通らなければならず、さらに焦ります。改札さえ通ってしまえば、後の手順は日本と同じです。チケットの購入に関してはアプリの紹介で説明します。

駅改札口
(駅改札口・ホーム)
ホーム

5. 中国で便利なアプリ

定期報告書1号でも記したとおり、今は様々な物が電子化しており、スマートフォンなしでは過ごしにくい環境になっています。半年中国で過ごし、役立ったアプリについて紹介します。私のスマートフォンはAndroidのためiPhoneではインストールが難しいかもしれませんが、参考にしていただければ幸いです。

□支付宝(アリペイ)

電子決済アプリです。バスや地下鉄などの公共交通機関にも使うことができ、非常に便利です。

□微信(Wechat)

日本でいうLINEのようなもので、大学関係や学生同士の連絡のやりとりはすべてこのアプリを使って行われます。メッセージのやりとり以外にも、電子決済機能(微信支付)やタクシーの手配、店での注文、公共交通機関の支払いなど、非常に多くの場面で使います。

中国では、電子決済は基本的に「支付宝」と「微信支付」しかないため、この2つを入れておくと支払いで困ることはありません。どちらも支払いは銀行から直接引き落とされ、銀行に何度も行く必要がなく楽です。

□百度地图・高德地图

この2つは地図アプリで、目的地までの行き方など調べるのに便利です。

□拼多多・淘宝

Amazonや楽天のような通販アプリで、食べ物から雑貨、衣服など生活に必要な物はほとんどあります。日本の物も多く販売されており、お茶漬けや消臭スプレーなど何でもあるイメージがあります。物にもよりますが、日本製品は日本よりも200円ほど高いぐらいです。日本の通販よりも安く、日用品もスーパーで買うよりも安いことが多いので、買い物のほとんどは通販で行っています。

□菜鸟

通販で買った宅配物などを受け取るときに必要なアプリです。大学の近くには、三カ所程「菜鸟站」という郵便物の集荷をしている店があり、届いた荷物が並べられています。そこでアプリに届いた自分の荷物の場所を表した数字のところまで行き、荷物を取り、荷物に張ってあるバーコードとアプリ内の自分のバーコードを機械にかざすと、受け取りが完了します。大学の寮まで宅配が来ることはないので、自分で荷物を取りに行く必要があります。

菜鸟站
(菜鸟站)
菜鸟站の荷物置き場
(荷物置き場)
菜鸟站のバーコード読み込み場所
(バーコード読み込み場所)

□滴滴出行

タクシーを呼ぶために必要なアプリで、日本にもあり、日本では「DiDi」と表記されていますが、中国国内用があるためダウンロードする時に注意が必要です。「微信」にも「滴滴出行」が連携されていますが、アプリの方では会員特典で割引などがあり、お得に利用することができます。タクシーを呼び、目的地までのルートと現在地を示す機能や、110番に直接電話をかけることができる機能もあるので、比較的安全にタクシーを利用できます。

中国の友達に、必ずタクシーに乗っている時は、現在走っているルートと走行予定ルートが正しいかを見ておくように言われたことから、中国のタクシーに対しての信用はあまりないのではないかと感じました。

□小红书

インスタグラムに近く、おすすめの場所や食べ物を投稿し、閲覧することができるアプリで、観光先での過ごし方を決めるのにとても役立ちます。

□美团

Uber EATSのような宅配アプリで、指定した場所まで頼んだものを届けてくれます。

□Trip.com

航空券やホテルの予約が取れるアプリで、手数料が加算され少し高くなってしまいますが、高速鉄道の予約も取ることができます。高速鉄道用の「铁路12306」のアプリでも予約は取れますが、高速鉄道の場合、中国のアプリだと外国人は高速鉄道駅の窓口に行き、チケットを発行する必要があります。窓口が混んでいる時もあり、発行にかかる時間が不透明で、私の友達が発行するために窓口に行った時には、20分ほど戻ってきませんでした。そのため私はeチケットでチケット発行の必要がない「Trip.com」を使用しています。

6. 終わりに

夏休みが終わり、新学期が始まりました。中国では9月が入学の時期のため、多くの留学生が新たにやって来ると聞いています。変わっていく環境についていけるか不安ですが、自身の語学向上への努力はもちろん、次は私が新たに来る留学生の助けになれるように頑張りたいと思います。