曲阜師範大学 国際文化学科4年 枌野初音 <2号 2023年5~6月>

はじめに

時の流れは速く、今学期が終わり、夏休みがやってきました。前回は主に渡航前から渡航後の準備や手続きと周辺の環境について記しました。今回は6月で前期を終えたということで、3月から6月の間に大学で行われた活動や出来事、前期に必要な費用について報告します。

前期の活動と行事

留学先の大学では様々な活動や行事があり、予定が合えば必ず参加するようにしていました。以下の表は、今学期に私が参加もしくは見学した活動と行事です。☆は留学生の活動の一環で必ず出席でした。簡単ではありますが、何個か活動内容について紹介したいと思います。

4月 ☆孔子研究院の見学

曲阜師範大学運動会の見学

4泊5日中国国内旅行

5月 ☆汶上县で文化体験

曲阜師範大学卒業パーティ

6月

曲阜師範大学卒業式

端午节のちまき作り体験

☆期末試験

孔子研究院の見学

この活動は今年に曲阜師範大学に来た留学生が参加しました。主な内容は文化体験で、漢服を着て活動に参加し、孔子についての説明、焚香、射芸、研墨などの体験をしました。どれも日本では体験することが難しいものばかりで、貴重な体験となりました。

4泊5日中国国内旅行

留学生が参加できる旅行で、参加費に約1700元(交通費、食費、ホテル代込み)がかかってしまいますが、余裕があるなら参加することを強くおすすめします。安全に中国の観光をできることもですが、この旅行の最大のメリットは、留学生と交流を深めることができることです。この旅行ではほとんどの留学生が参加し、普段話す機会が少ない本科生や院生とも交流ができました。参加時点では日本人が私ひとりで、中国語を話すことに自信が持てないのもあり、なかなか周りとなじめず最初の2日間はずっと胃が痛く、参加したことに少し後悔していました。しかし日が経つにつれ、失敗を恐れずに中国語を使い交流できるようになりました。今思えば疲れたら自室に逃げ込める寮の時とは違い、強制的に中国語を一日中使わなければいけない状況下にあったため、この旅行で私の中国語力が大きく上がったような気がします。今の友達はこの旅行で作った友達がほとんどなので、参加して本当によかったと思います。

今回の旅行では蘇州、杭州、上海の三カ所をまわり、各地の主要な観光地を訪れました。現地での自由行動が意外と多く、自分の見たい場所に行くことができたため、事前に行く場所について調べておくことをおすすめします。

旅行の様子1
旅行の様子2

(旅行の様子)

中国の卒業式

中国では日本と違い、6月の末に卒業式が行われます。そして6月に仕事を始める人や実家に帰る人も居るため、5月中旬に学科を分けて週末に卒業パーティがありました。卒業パーティは卒業生や先生方が歌やダンス、映像などの出し物をして、みんなで楽しむというものでした。観客がサイリウムを持っていたり、リアルタイムで観客のコメントをモニターに出したりとライブに近いようなパーティでした。

卒業式は講堂ではなく、大学の広場のような場所で行われ、モニター4台にドローンやカメラで撮った映像を流しており、朝6時半から11時近くまである大規模なものでした。曲阜師範大学の日照キャンパスの卒業式も同時中継されていました。中国の卒業式で着る服は漢服だと思っていましたが、アカデミックガウンだったので意外でした。卒業証書授与は複数人同時にはなりますが、すべての卒業生に対してあり、カメラに対して手を振ったりハートを作ったり、プロポーズがあったりと日本より気軽に参加できるような式でした。

卒業パーティの様子

(卒業パーティの様子)

卒業式の様子

(卒業式の様子)

授業・期末テスト

3月から4月では毎日胃が痛かった授業も、5月頃には肩の力を抜いて参加できるようになっていました。最初の頃は中国語が聞き取れなかったり、間違えていたらどうしよう、発音は完璧でなければという思いから質問をされても沈黙してしまったりしていましたが、最近ではとりあえず話して違ったら先生やクラスメイトに訂正や補足してもらおうと思うことで、沈黙することがなくなりました。わからない時や聞き取れない時は素直にそう伝えることで相手が簡単な言い方に変えてくれるので、とりあえず思っていることを口に出すということが留学生活において重要だと感じました。

私たちのクラスは授業開始の時期が一ヶ月ほど遅かったため、今年は中間テストがありませんでした。期末テストは6月20日から21日の2日間で、5教科すべて行いました。どれも授業の内容や課題をしっかり把握していれば解ける問題で、全く手がつけられないということはありませんでした。

先生とクラスメイトとの写真

(授業後に先生とクラスメイトで撮ったもの)

健康面

5月頃に寮内で新型コロナウイルスが流行し、私も例に漏れず感染しました。感染したのがちょうど中国のゴールデンウィークの時だったため、授業がなく、ゆっくり休むことができました。そのときに日本から持ってきた解熱剤と喉スプレー、冷却シート、体温計が役に立ちました。ご飯や日用品などは友人が買いに行ってくれたので本当にありがたかったです。久々に高熱が出て驚きましたが、2日ほどで下がり、そのときは病院に行くことなく自力で直しました。しかし、コロナ特有の喉の痛みと咳が5月下旬に再発し、終いには声も出なくなったので、中国の友人に付き添ってもらって病院に行くことになりました。最初は曲阜師範大学内にある病院に行きました。診察料は無料で簡単な診察ならできますが、私の場合、診察に必要な道具がないということだったので、曲阜師範大学の目の前にある小さな民間病院に行くことになりました。そこでは診察や薬代は有料なため、加入した保険を利用しようと思い、診断書をお願いしましたが、そこでは発行できないということで、診察料を30元ほど払いました。私は外国の薬を使うことに不安を感じたので、そこで薬は買わず、医師と相談し、持参した日本の薬で治しました。病院の規模によっては保険適応に必要な診断書が発行できない場合があるので、行く前に病院に電話をして確認するべきでした。

中国の蚊は日本とは違い、刺されるとひどく腫れる場合があります。私も何回か刺され、一度捻挫したかのように大きく腫れたことがありました。そのため虫刺されの薬や虫除けスプレーは夏に必須となります。中国の通販でも日本の虫刺されの薬や虫除けスプレーは買えますが、少し高いので持ってくることをおすすめします。

海外では体調を崩したときに日本の薬を手に入れることは難しく、あったとしても値が張ってしまうことがあります。そのため様々な種類の薬を持って行ったほうが、何かあったときに早く対処することができます。私は風邪薬、解熱剤、抗アレルギー剤、胃腸薬、目薬、虫刺されの薬など想定できる症状に対処できる薬はすべて持って行きました。

中国人との交流

留学をしに来たからには、中国人の友達をたくさん作ろうと意気込んでいましたが、中国に来てから現地の学生と交流する機会がほとんどなく、活動があったとしても留学生とばかりで、このままでは中国のお友達を作れずに留学が終わってしまうと毎日焦っていました。

そして5月下旬に先生から日本語を学んでいる学生との交流に誘っていただき、無事に交流する機会をいただくことができました。いつか交流する機会があるだろうと待っていましたが、待たずにこちらから交流したいことを先生に伝えていれば、もう少し早く出会えていたので、言い出さなかったことを後悔しています。

交流している学生は3人で、学校を案内してもらったり、おすすめの場所を紹介してもらったり、一緒にご飯を食べに行ったりしています。最初は私の中国語でまともに会話できるか不安でいっぱいでしたが、学生たちはゆっくり簡単な言葉で話してくれますし、私の中国語も聞き取ってくれるので、問題なく意思疎通を図ることができました。本当にわからないときは翻訳アプリを使って訳してくれました。留学生同士だと翻訳アプリは一切使わないので少し新鮮に感じました。文化はやはり現地の人に聞いた方が早く、中国の流行のも物や食べ物など多く教えてもらいました。

現地の学生と交流したときの様子

(現地の学生と交流したときの様子)

休日の過ごし方

毎週土日は授業がなく、自由な時間が多かったため、週に一回は週末に外に出て何かするということを目標にして過ごしていました。曲阜は孔子にゆかりがある土地で孔子に関する観光地が多くあります。6月までには孔子博物館、三孔(孔廟・孔府・孔林)に行き、孔子に関する以外の場所では、曲阜師範大学のもう一つのキャンパスがある日照市、大学から車で40分ほどの距離にある石門山に行きました。これらすべて日帰りできる場所にあり、三孔は車で6分ほどの近いところにあります。上海などの大都会の観光もいいですが、山東省ならではの観光地も美しいところが多くあり、おすすめしたいところばかりです。夏休みを使い、ほかの観光地も巡りたいと思っています。

石門山

(石門山)

孔子博物館

(孔子博物館)

三孔

(三孔)

日照

(日照)

寮生活

寮では留学生同士の交流が盛んで、トラブルもなく日々楽しく暮らしています。同じ階に住んでいる留学生の部屋に呼ばれて、ギターを弾いたり歌を歌ったりしながら過ごすこともあります。

留学生が誕生日の時には、0時にケーキをもってその人の部屋に行き、お祝いすることがなんとなく決まっており、私の時もお祝いをしてもらいました。日付が変わった瞬間に大人数からお祝いしてもらえたのは寮生活ならではだと思います。私の誕生日の日は日本料理を振舞おうと思い、お好み焼きとちらし寿司を作りました。お好み焼きは材料やソースの融通が利くこともあり、人気でした。別の日に作ったホットケーキも好評で、日本からお好み焼き粉やホットケーキミックス等の粉を持って行くとみんなで日本料理が楽しめると思います。

日本料理を振る舞ったときの様子

(日本料理を振る舞ったときの様子)

誕生日会

(誕生日会)

前期で必要になった費用

前回の体験レポートでも記した通り、曲阜師範大学で過ごすにあたって様々な費用が必要となります。下記はその中でも大きな出費を書いています。

教科書代 約300元
健康診断 390元
外国人居留許可申請 400元
保険費(山口県立大学のとは別) 800元
スマホの通信代 130元(月々約30元)
寮費(3月から7月) 2620元(月々600元)
4泊5日中国国内旅行参加費 約1700元

終わりに

日々がめまぐるしく過ぎ、留学生活も残り半年となりました。3ヶ月間でどれだけ自分の中国語力を伸ばせたのかは定かではありませんが、先生や友達から語学力が上がったと評価されることが増えたので、他者がわかる程度には伸びたのではないかと思います。中国語の勉強はもちろん、現地学生や留学生との交流や様々な体験を残りの半年で後悔のないように挑戦していきたいと思っています。