曲阜師範大学 国際文化学科4年 枌野初音 <1号 2023年3~4月>

1. はじめに

私は大学1年の時の夏休みに参加した文化研修がきっかけで、曲阜師範大学へ留学を決めました。そして2022年度に曲阜師範大学への交換留学に申し込みましたが、当時は新型コロナウイルス流行のため、ビザの申請ができずにオンライン留学という形で1年間曲阜師範大学の講義を受けていました。そして今年度も申し込み、一ヶ月遅れではありますが、無事に現地での留学生活が決まりました。

曲阜師範大学で留学生活を始めてから約1ヶ月が経ち、来た当初は毎日を過ごすのに必死でしたが、今では少し余裕ができ、日々の生活に楽しさを見つけることができるようになりました。第1号の報告書では、渡航準備と現地の基本的な情報を書きたいと思います。

2. 留学前の準備

中国の交換留学派遣生募集は一次と二次があり、それぞれ6月と11月にあります。私は第二次の募集に応募し、曲阜師範大学への留学が決まりました。留学が決定した時点でも、まだ中国は新型コロナウイルスの水際対策により、留学ビザが取得できず、いつ行けるのかがわからない状態でした。

そうして自分が一ヶ月後日本にいるのか中国にいるのかが不確定のまま年が明け、1月の末にようやく大使館からビザが取得できるようになるとの発表があり、慌ただしく留学に向けての準備が始まりました。来年度では新型コロナウイルスによる水際対策もなくなり、私が準備した何点かの書類は必要ないかもしれませんが、記録としてこちらに記しておきます。

ビザの申請

ビザの申請には以下の書類が必要になります。(時期によって変わります)

  • JW202表(外国留学人員来華査証申請表)の原本とコピー
  • 入学通知書の原本とコピー
  • パスポート(必要な場合は旧パスポート)
  • オンライン申請表
  • 証明写真

1年間留学する場合はX1ビザを申請する必要があり、「JW202表」と「入学通知書」は曲阜師範大学から送ってもらう必要があります。「JW202表」を作成するために「信息采集表」と証明写真、パスポートのコピー、英語表記の最高学歴の証書と成績表が必要でした。最高学歴の証書と成績表は今まで提出の必要がなく、今年になって初めて追加された書類のため、高校に急いで電話し、郵送で送ってもらいました。発行まで1週間程かかり、かなり焦った記憶があります。「JW202表」と「入学通知書」は私の場合、手元に届くまでに1ヶ月かかり、ビザの申請が遅れたため、留学が決まり次第早めに大学の先生と連絡を取り、準備を進めると焦ることなく準備ができると思います。

ビザの申請は今回、出発が決まるのが急すぎたためビザ代行はできず、自力で行い、住民票が山口県にあったため、福岡総領事館で申請をし、費用は3000円でした。住民票がどこの県かで申請できる領事館が変わります。

2020年からビザの申請は紙媒体ではなく、電子媒体となり、領事館への予約も完全オンライン制となりました。記入事項の説明が中国語か英語なため、かなり手こずり、大学の先生や中国の友達にたくさん聞きました。オンライン申請の記入内容は1ヶ月間であれば保存できるので、大学から書類が届く前にほとんど記入を終わらせました。そして2月の末に大学からようやく書類が届き、その日のうちに福岡総領事館に来館予約をしましたが、一つ問題が発生しました。ビジネスや留学ビザの申請が一斉に開始されたため、ビザ申請に人が殺到し、来館予約が一ヶ月先まで取ることができない状態になっていました。私も予約をした時点で3月末しかとることができず、福岡総領事館に電話をして、無事に3月上旬に予約を繰り上げてもらうことができました。ビザは申請が受理されてから家に届くまでに1週間ほどかかるため、大学から書類が届き次第すぐに動き始めることをおすすめします。そして私は自宅にビザが届いた3日後に渡航しました。

外国人体格検査

この検査は日本の国立・公立病院や日中友好病院または中国で受ける健康診断で、その書類を留学先の学校に提出します。山口県では下関関門医療センターで受診することができ、費用として2万円ほどかかります。中国で受ける場合は、同じタイミングで来た留学生と大学の先生と一緒に受診しに行きます。中国で受診の場合は8000円ほどでした。私は渡航前に日本で受診し、渡航後、なぜか日本でした検査が大学の先生から認められず、中国でも同じ検査を受けました。渡航前に日本で受診するべきかどうか聞いておくべきだったと反省しています。日本と中国で受診した感想としては、中国の方が検査の時間も早く、安いので、中国の方でいいのではないかと思います。病院の先生に相談したいことや持病などがある人は、日本の方で受診するべきだと思います。

換金、デビットカード、クレジットカード

過去の先輩方の報告書で、到着時に多くの支払いがあると言うことだったので、渡航前にトラレックス外貨宅配サービスを使い、20万ほど人民元に両替して持って行きました。それでも足りるか不安だったので、三井住友銀行でデビットカードとクレジットカードを作りました。

三井住友銀行のVISAデビットカードは日本で入金した日本円を中国の人民元で引き出すことができ、大変便利です。大学内の中国建設銀行にVISA対応のATMがあるため、大学内で引き落とすことができます。

日本でよく使われるVISA、JCBなどは中国で扱えるところは少なく、銀聯カードでないとほとんど使うことができません。そのため銀聯カード対応のある三井住友銀行のクレジットカードを作りましたが、現時点で一回も中国で使用していないので使えるかどうかはわかりません。

VPN

中国ではインターネットに関する規制が厳しく、日本人が日常で使用するLINEやGoogle、Instagram、YouTubeなどが使用できません。それらに代わる便利なアプリが中国にはたくさんあるので、今後の報告書で紹介したいと思います。LINEなどを中国で利用するには、VPNというものが必要になります。現在は規制がますます厳しくなり、無料版を使用するのは難しく、有料版を使用する必要があります。多くの会社がVPNのサービスをしているので、自分に合ったものを見つけてください。私はMillenVPNというものを使用していますが、今のところ問題なく使えています。

PCR検査陰性証明書の発行と登録

私が渡航する際は、出発前の48時間以内のPCR検査での陰性証明が必要でした。そして搭乗チェックイン前にWechatで「海関旅客指尖服務」から「中国税関出入国健康申告」を行いました。

3. 到着後

私の場合、到着の翌日から授業が始まり、買い物や銀行口座の開設、電話番号の取得、健康診断など、一週間があっという間に過ぎました。先生や留学生たちの言っていることが何も分からず苦労しましたが、周りの留学生がとても優しくサポートしてくれたため、ひとりでさみしい時間を過ごすことはあまりなく、大変だけれども楽しい毎日が過ごせました。

SIMカードの購入

到着翌日の授業後にすぐに行ったのが、SIMカードの購入です。銀行口座を作るためには、中国での電話番号が必要になるため最優先事項でした。中国の学生にサポートしてもらいながら「中国移動」という会社で購入しました。店の方と学生に言われるがままに、100元を払い購入しました。今まで留学された先輩の中で、機種がAndroidの人がおらず、現地で使えるかどうか不安でしたが、Galaxyは使えたので安心しました。渡航前に携帯をSIMフリーの状態にしておかないと使用できないので、事前に確認しておく必要があります。

電子マネー

中国では現金よりも電子マネーの方が多く使われ、学内にある食堂では現金で支払う人を見たことがないので、支払いは電子マネーのみだと思います。そのため電子マネーに登録する必要があります。よく使うのは「支付宝(アリペイ)」と「微信支付(Wechat Pay)」で基本的な支払いは「支付宝」でしていました。カフェが完全オンラインでの注文だったりと電子マネーを持っていないと買うことすらできないこともあるので、電子マネーの使用は絶対です。

4. 留学生活

留学生寮

留学生は国際文化交流学院の留学生寮で生活をしています。短期留学で曲阜師範大学に来た際使用した教室があった寮なので、来たときに建物自体が学生寮だったことに驚きました。基本二人一部屋で同じ国籍同士の人がルームメイトとなります。私の場合、もう1人の山口県立大学の学生が手続きの関係上、渡航が1ヶ月ほど遅れたため、1ヶ月間は一人で一部屋を使い、曲阜に到着後は2人で一部屋を使用しています。

使用している部屋はおそらく先輩方が過去に使っていた部屋で、先輩方が残しておいてくださったものが多くありました。残念ながら、3年間山口県立大学で交換留学がなかったために、使えなくなっているものも多く、泣く泣く捨てたものもあります。それでも使えるものはたくさんあり、日々の暮らしに役立っています。

部屋には、エアコン、勉強机、クローゼット、ベッド、シャワー、洗面台、トイレがあり、消耗品以外は買う必要がないくらい充実しています。洗面台とシャワーとトイレは同じ一部屋にあり、お風呂上がりはいつも床が水浸しになります。いい方法がないか模索しようと思っています。

共用のものとしては各階にキッチン、冷蔵庫があり、一階には洗濯機があります。洗濯機は一回2元で使用でき、屋上には干す場所もあります。私は部屋が乾燥していることもあり、部屋干しがほとんどです。

寮の部屋
(寮の部屋)
各階の飲食スペースと冷蔵庫
(各階の飲食スペースと冷蔵庫)
各階のキッチン
(各階のキッチン)

授業

授業は先生と留学生のみで行われ、毎授業2人ずつ曲阜師範大学の学生が見学にやってきます。今年度はクラスの振り分け試験がなく、来たタイミングがほとんど同じ留学生9人と一緒に授業を受けています。ベトナムやケニア、ナイジェリアなど様々な国の学生がいます。授業は月曜日から金曜日の午前8時から12時まであり、1日2科目の授業で一時間ごとに10分ほどの休憩があります。

私が履修している科目は汉语综合、汉语阅读、HSK辅导、汉语写作、汉语口语の5教科で、すべて中級ですが、購入した教科書や配布された冊子を使用しながら授業をしています。

休憩時間の教室の様子
(休憩時間の教室の様子)

食事・買い物

食事は食堂を使用することがほとんどです。山口県立大学の食堂とは違い、フードコートのように複数の店が一つの食堂の中に入っているため、かなりの種類のご飯を選ぶことができます。私は一日1店舗ずつ違う店に行って、自分の好みの店を探していました。価格も安く6元~10元で食べることができます。食堂は近くに3カ所ほどあり、食堂ごとに店が違ったりしていて見るだけでも面白いです。

スーパーマーケットも徒歩圏内に3カ所ほどあり、買い物に困ることもなく、通販もあるので大体のものは揃います。

寮近くの食堂
(寮近くの食堂)

5. おわりに

本報告書では、渡航準備や大学の基本的な情報について記しました。本当は学校生活についてもっと詳しく書きたかったのですが、それは次回の報告書でお伝えしたいと思います。

1ヶ月は本当にあっという間に過ぎました。その間、話している中国語も聞き取れず、自分の思いも伝えられず、苦しい思いをしたときもありましたが、今では少し肩の力を抜いて、友達と笑いながら話ができています。地元の方々や先生、そして留学生も私が中国語を理解できるように精一杯の工夫をしてくださるので、臆することなく日々の生活でたどたどしくも中国語が使えています。これからの体験記で少しでも私の留学生活が伝われば幸いです。