幼児の食生活と経済的要因との関連性
研究連携先 | 地方自治体 |
研究者 | 栄養学科 講師 兼安 真弓 |
研究背景
経済的要因が認知的要因を介して食行動等に影響を及ぼすことが報告されている。本研究は、幼児の食生活と母親の認知的要因及び世帯の経済状況の関連を調査し、自治体の母子保健事業において効果的な対策に取り組む上での基礎資料を得ることを目的とした。
研究内容
本市の3歳児健診の出口で、アンケート調査を実施した。解析対象は152名、母親は平均年齢34.9±4.7歳、約7割が就業しており、約8割が核家族であった。
研究結果
・世帯年収が低い群(年収400万円未満)は、3歳児の野菜摂取頻度が少ない傾向を認めた。
・世帯年収が高い群(年収600万円以上)は、果汁などの甘味飲料の摂取頻度が有意に多かった。
・その他の食品群(穀類、肉、魚、卵、果物等)の摂取頻度や惣菜・外食の利用頻度は、世帯年収との関連を認めなかった。
・母親の認知的要因として「食べ方への関心」と「食事の楽しさ」において世帯年収と関連する傾向を認めた。
以上から、幼児や母親の食行動変容への支援においては、経済的要因を視野にいれた働きかけも必要であると考えられた。
図1 野菜摂取頻度と世帯年収との関係
図2 甘味飲料摂取頻度と世帯年収との関係
応用・展開
・自治体において実態把握のデータとしての活用
・母子保健事業においてより効果的な対策に取り組む上での基礎資料としての活用