ラップランド大学 国際文化学科3年 秋田桃花<2号 2022年11~12月>

フィンランドでのクリスマス

 クリスマスが近づくにつれてロヴァニエミ市内は世界中からの観光客で埋め尽くされていきます。サンタクロースの町と呼ばれるだけあって、いたるところにクリスマスの随分前からイルミネーションやクリスマスの装飾が施されます。フィンランドの人々にとってクリスマスは非常に大切な行事でほとんどの学校や会社ではChristmas holidayという休暇があり、家族や親戚過ごします。フィンランドではクリスマスの日の朝に子どもたちがサンタさんと直接電話ができるという夢のようなテレビ番組があり、実際に見てみて子ども心くすぐる夢のある慣習だなとほほえましい気持ちになりました。
 今年のクリスマスはロヴァニエミで過ごすことにし、フィンランド人の友人と伝統的なディナーを作りました。クリスマスの日に食べる伝統的な料理として、ミートボールやマッシュポテト、ソーセージやハム、またmaksalaatikkoと呼ばれる、レバー、お米、卵や玉ねぎで作ることができる料理も食べ、フィンランドのクリスマスの家庭の味を体験することができました。

クリスマスディナーの写真
友達と作ったクリスマスディナー。
部屋からの風景の写真
クリスマスの朝の部屋からの風景。

 フィンランドには想像以上にお米を使った料理がたくさんあります。例えばkarjanpiirakkaと呼ばれるお米やバター、卵を使ったパイや、puuroと呼ばれるお米やオートミールをミルクで甘く煮たものをジャムや蜂蜜をかけて食べるなど、日本とお米の食べ方は大きく異なりますがたくさんの共通点を発見することができます。

フィンランドでの年越し

 ラップランド大学の交換留学生の多くはヨーロッパから来ており、1学期で留学を終える場合も多いので、クリスマスや年越しを家族と過ごすため母国に帰ったり、そのまま帰国したりするので一気に学生を見かけることが少なくなりました。私は今回の年末はロヴァニエミで友達とゆっくり過ごすことにしました。
 私がこちらに来る前から楽しみにしていたことは、年越しの日に花火を見ることです。フィンランドでは12月31日から1日にかけて、決められた時刻だけ(今年は18:00~2:00)花火を打ち上げることが許されます。花火といえば日本の夏の風物詩で、海岸に行って手持ち花火を楽しんだり夏の花火大会に行ったりしますが、フィンランドでは冬のこの時期にだけ花火を見ることができ、また誰でも場所をあまり気にすることなく花火を打ち上げることができます。そのため隣近所の人が打ち上げた花火を部屋から見ることができ、さらに市内に行くとより大きな花火を川岸から見ることができます。非常に綺麗で冬に花火を見るという不思議な体験ができました。フィンランドの留学を考えている人にはぜひ経験していただきたい行事です。

花火の写真
花火の写真

年越しは市内で花火を見ました。とても近くで見ることができ迫力満点です。

現地での医療機関利用について

 ここでは私が実際に利用したフィンランドの医療機関と保険についてお話ししようと思います。12月中旬から1月にかけて体調を崩し、最終的に病院に行くという決断をしました。医療機関を訪ねるにあたってまず確認しなければならないことは、自分が加入している保険がどこまでどのような場合に適応されるのかということについて知っておく必要があります。保険会社に直接電話で保険の詳細などについて聞くことが一番効率的だと思います。
もし留学先の国でかかった病気が既往症や持病であると判断された場合、保険が適応されず全額負担となることがあるためです。私の場合、今回の病状が以前かかった事のある病気と類似していたため一時は医療費を全額負担しなければならないかもしれない状況にありましたが、幸いにもその後の審査の結果、保険が下りることになりました。 とはいえ、今回行った病院はLappi Central Hospitalという公立病院で、そこではキャッシュレス決済(その場で払う必要はなく、請求書が直接保険会社に送られるタイプの支払い方法)ができなかったので、その場で全額支払ってその後保険会社に請求するという形をとることにしました。今回の場合は、診察料と血液検査などのテスト、薬代を含めて400ユーロ程でした。
 フィンランドの医療機関では医師や看護師との会話はすべて英語行えるため言語の面では全く問題はありませんでしたが、自分の病状やどこがどのように痛むのかなどの簡単な医療用語を覚えておくことが必要であると感じました。今回利用した公立病院は24時間対応でフィンランド人だけでなく外国人も利用できます。私立病院に比べて医療費が安いですが予約制ではないため、直接病院に行き、番号札を機械から受け取り、自分の順番を待つ必要があります。私の場合、診療と検査・診断で合計9時間病院に滞在しなければなりませんでした。しかし幸いにもフィンランド人の友人が付き添い人として一緒にいてくれたため、不安を感じることはほとんどありませんでした。
 病院に行くにあたって気を付けた方がいいことは、事前に食べ物を用意して持っていくことです。病状にもよりますが、公立病院では平均して6~7時間待つことが予想されますので軽食を持参することをお勧めします。一番良いのは病気にかからないということなので日ごろから体調管理には十分に気を付けて、もし何か病気にかかってしまったりしたときは、まず学校と保険会社に相談したのち、速やかに病院に向かうということが大切です。お金よりも自分の健康を優先してください。

今後の予定について

 これから最後の春学期を過ごすにあたってこちらでの学業に励むことはもちろんですが、帰国後や将来のプランについても考え始めていこうと思います。まずは最後の学期を悔いのないように楽しみ、それと同時に自分自身と向き合う時間も確保して残りの留学生活を充実したものにできるよう努めようと思います。