ラップランド大学 国際文化学科4年 板屋花奈<1号 2022年9~10月>

はじめに

 8月10日にロヴァニエミに到着してから早くも2カ月が経過しました。到着したばかりのころは22時頃でも昼のように明るかったのですが、最近はどんどん日が沈むのが早くなってきて、生活リズムを整えるのに苦労しています。気温に関しては、8月には長袖1枚で、動くと少し暑く感じる日が多かったのですが、10月現在は既にマイナスを下回る日も増えてきており、10月下旬にはついに初雪が降りました。

初雪で雪だるまをつくりました。

ロヴァニエミ到着まで

 8月9日の夜に国内線で山口宇部空港から羽田空港へ移動し、そこから直行便でヘルシンキ・ヴァンター国際空港へ、さらに国内線でロヴァニエミ空港に到着しました。羽田―ヘルシンキ間は、ロシア領空を回避する影響で13、4時間と通常より長い旅になりました。フィンランドは既にコロナの陰性証明や、ワクチンの接種証明なども必要なかったので、コロナ前に海外に行ったときと特に変わりなく入国できました。ロヴァニエミ空港に着いてからは、チューターの学生が車で迎えに来てくれて、アパートまで送ってくれました。その後近くのスーパーなどを案内して回ってくれたり、分からないことがあれば今でも連絡するとすぐに教えてくれるので、とてもありがたいです。

 早くSIMカードが欲しかったので、ヘルシンキでの待ち時間で空港内のR-kioskiというコンビニでSIMカードを焦って買ってしまったのですが、アパートによってはSIMカードをもらえるところもあるようなので、確認してから買うことをおすすめします。ちなみに私のアパートではもらえませんでした。

大学生活

 8月16日から4日間オリエンテーションがあり、次の週から授業が始まりました。 ラップランド大学の授業は日本の大学の授業と異なる点が多くあります。まず、授業時間は1授業約3~4時間で、日本と比べるととても長く感じますが、授業の合間には20分前後の長めの休憩があるのでそこでリフレッシュして頑張っています。また、日本ではどの授業も学期の始めから終わりまでの約4か月間続きますが、ラップランド大学では授業ごとに始まりと終わりの時期は様々で、大体の授業が2か月ほどで終わります。さらに、日本のようにこの科目は何曜日の何限とは決まっておらず、何日の何時から何時というように科目それぞれで決まっており、科目よっては授業の曜日や開始時間が毎回違うこともあります。そのため、取りたかった複数の科目の授業が重なってしまうこともよくありますが、その場合は、履修登録をする前に担当の先生にメールで相談することで、授業が重なったことによる欠席分を、授業の録画を観るなど、その他の方法で対応してもらえる場合もあります。ほとんどの授業は録画されて後日MoodleやTeamsにアップされるので、復習もしやすいです。

 私はフィンランドのメディア教育やジェンダー教育に興味があったので教育学部を選びましたが、アート・デザイン学部の授業以外であれば基本的に他学部の授業も履修できるので、自分の興味に合わせて勉強しやすいと思います。私が履修した科目を少しご紹介します。

Finnish 1
 フィンランド語の授業です。私のクラスは10人以下の少人数で、ペアワークがたくさんありました。フィンランド語はこの授業で初めて勉強したので、最初の1、2回は混乱して全く授業についていけませんでしたが、少人数なので先生にも質問しやすく、ペアワークではより理解していたヨーロッパの学生にも助けてもらって、次第に慣れていきました。また、私のクラスでは毎回成績に入らない小テストと課題があり、少しずつ頭の中を整理できたので最終試験も大丈夫でした。

Understanding Finland
 フィンランド人の国民性やそこに関わる歴史的背景について学びました。比較的受講人数が多く、先生の話を聴く形式でした。最終課題は、受講している同じ国籍の学生とグループで取り組む課題で、もう1人の日本人留学生と2人で授業の要約と日本人の国民性との比較をしました。フィンランド人の国民性は、日本人(特に私自身)と共通する部分も多く、とても興味深かったです。

Global Media Education
 毎授業を違う先生が担当します。対面とTeamsを併用し、ラップランド大学やフィンランド国内からだけでなく、香港の大学の先生の講義も受けられます。トピックも様々でASMRと幸福の関係や、AI、デジタルデバイド、ファクトチェックなど、この他にも毎回違った視点からメディアについて考えます。留学生と意見交換する時間もあり、文化による違いも比較できてとても興味深い授業でした。最終課題は毎授業ごとに書くダイアリーの提出でした。

Australia: Society and Culture
 名前の通りオーストラリアについて勉強します。受講生は10人前後で、Teamsを使ってオンラインで開講されました。担当の記事を要約して、グループ内でその記事を読んでいない学生に説明します。英語で順序立ててわかりやすく伝えることに苦戦しました。また、受講している学生の多くがフィンランド人で日本人は私1人だったので、よく日本のことを質問されました。

Introduction to Gender Studies
 この科目に講義はなく、Moodleを使ってフィンランドの他大学の学生と文字でやり取りをします。指定されたテキストや記事を読んだり、動画を観たりして、その内容に関して投稿を作成し、他の学生の投稿にコメントをすることでディスカッションをします。リーディングの量が多く専門用語も多いので、かなり苦労しています。

11月からはChinese 2が始まります。英語でどのように中国語を勉強するのか楽しみです。

アパート

私は大学に近いアパートにスペイン人のルームメイトと2人で住んでおり、大学までは徒歩5分程度です。アパートにはそれぞれ自分の個室があり、キッチンとバスルームが共有になっています。洗濯は隣のアパートにあるランドリールームを使っており、週6時間まで予約できます。個室にはWi-Fiもついているので、オンライン授業も問題なく受けられます。
 また、隣のアパートにRecycling Roomという、前の留学生が置いていった日用品などが集められている部屋があり、そこから無料で好きなだけ持って帰れるので、早めにロヴァニエミに着いていると良いかもしれません。

 私の個室です。ベッドにはマットレスと敷パッドがついていました。 スペイン人のルームメイトとは生活リズムがかなり違うので、最初の頃はなかなか家でも話す時間がなかったのですが、ちょうどタイミングがあったときに少しずついろいろな話をするうちに仲良くなれました。最近では2人でオーロラをよく観に行っています。スペインの料理もふるまってもらったので、今度は私が日本料理をふるまいたいと思います。

スペイン料理のPastel de berenjenaを作ってもらいました。

アクティビティ

 8月下旬に近くの山にブルーベリー狩りに行きました。取ってもきりがないほどそこら中にブルーベリーがなっていました。寒くもなく暑くもないちょうど良い天候だったので、ブルーベリーを取るのに夢中になり、気づいたら3時間も経っていました。

大収穫でした。

 9月には人生初めてのオーロラを観ることができました。最近さらに活発になって、大きなオーロラが観られるようになってきています。アパートの近くに明かりが少ない天体観測にぴったりな場所があるので、留学生がよく集まってオーロラを見ています。星もきれいで流れ星を見ることもできます。

10月のオーロラです。大迫力でした。

 10月上旬に授業スケジュールに余裕ができたので、ヘルシンキに旅行に行きました。サンタクロースエクスプレスという寝台列車に乗って行きました。建物がとてもカラフルで、ロヴァニエミとはまた違った魅力がありました。また、私はフィギュアスケートが大好きなので、フィンランディア杯という大会に好きな選手の応援にも行きました。

おわりに

 フィンランドの生活に慣れるのが大変だった8月、大学や留学生との交流で忙しかった9月、課題に追われつつ旅行もできた10月と、あっという間に時間が過ぎていきました。次の数か月はもっと早く過ぎていくと思います。どんどん寒くなっていきますが、12月で留学が終わる留学生も多いので、体調を崩さずたくさん思い出を作りたいと思います。