ラップランド大学 国際文化学科4年 中村はつき<最終号 2022年5~6月>

始めに

 ラップランド大学に来てから早一年が経とうとしています。長く寒い冬を越え、5月中旬には湖の氷が解け、歩道やアパートの周りもすっかり雪がなくなり緑が芽生えてきました。こちらの大学では5月中に春学期が終わるので、今はもう夏休みです。ヨーロッパからの交換留学生は1セメスターで帰国することが多く、1年を通して滞在すると人や環境の変化が目まぐるしいです。


5月初旬頃の湖

カフェリングア

 ラップランド大学での勉強を始めてから、週に一度カフェリングアというサークルのようなものに所属し、活動してきました。内容は、フィンランドやラップランド大学周辺に住んでいて、日本語を勉強したい人と会話や文化交流を楽しむ、というものです。フェイスブックに毎週日本文化の紹介や日本語の知識に関する記事をアップし、週に一度オンラインで1時間ほどのミーティングを行っていました。5月頭には、日本語勉強中の参加者のお宅にお邪魔し、メーデー(フィンランドではvappuと言います)の手作りドーナツとsimaと呼ばれる自家製のアルコール飲料を頂きました。去年からずっと続けてきたことが実り、オンラインでのミーティングだけではなく実際に仲良くなることができ、とても嬉しかったです。


手作りのvappuドーナツ

別れ

 5月も中旬になってくると周りの留学生が帰国の準備をし始めました。最近やっと仲良くなれてきたのに...、と思う友人も多く、寂しさを感じます。私はアパートが借りられるぎりぎりまでフィンランドに滞在するつもりなので、一層孤独を感じそうです。県大から一緒に来ていた山本さんやルームメイトも帰国の途に就きました。帰国前に最後のパーティーをしたり、友人に会ったり、手紙を書いたりしていると、「私も帰国するんだ」という実感が湧いてきました。


パーティーで手毬寿司を作りました

旅行

 6月にはオウル旅行に行ってきました。ロヴァニエミから電車で3時間ほどの場所で、比較的気軽に行くことができます。公園が沢山あり、屋外のマーケットなども充実しているのでゆっくりと過ごすのに向いています。今回は自転車と一緒の旅でした。電車やバスに自分の自転車を積み、森の中のサイクリングを楽しみました。日本では自転車を公共交通機関に乗せる、ということはあまりないですが、フィンランドではよく見かけます。旅行先でも自然やアクティビティを楽しみたい、というフィンランドならではの体験ができたと思います。


電車に自転車を積んだところ

 帰国前に他のヨーロッパの国々を楽しむ留学生が多いですが、私はあまり国外には出ず、フィンランド国内を開拓しました。留学中は、北からイナリ、サーリセルカ、ソダンキュラ、ケミヤルヴィ、ロヴァニエミ、トルニオ、オウル、タンペレ、トゥルク、ナーンタリ、ヘルシンキ、ヴァンターに行きました。どこも魅力的な場所だったのですが、一緒に行く友人や現地で会う人々の温かみがより一層旅を楽しく思い出深いものにしてくれたのだと思います。

勉強

 私の授業は5月末に終わりました。最後の授業は遠隔のみのコースで、先生と実際に会って話したり授業を受けたりすることはありませんでした。ですが、先生が各生徒とオンラインミーティングをセッティングしてくださり、提出物に細かなフィードバックをしてくくださったお陰で、モチベーションが下がること無く、充実感のあるコースでした。6月上旬には全ての成績がオンライン上で確認できました。無事、2セメスターを終えることができ安心しています。

交換留学を終えて

 フィンランドに来る前も来た後も悩みはつきませんでした。色々なトラブルも多く心身ともに疲弊しました。物質的なトラブルも多かったですが、自分はこれでいいのだろうか...、なぜ留学に来たのだろうか...といった考えが常にありました。周りの人と比べて劣等感や焦燥感を感じたり、気候の変化や環境の変化に体だけでなく心が付いていけなかったりしました。そんな時は、知らず知らずのうちに周りにいる日本人や、身近なフィンランド人の友人にすごく助けられました。このように書くと辛いことばかりだったのかと思われるかもしれませんが、もちろん楽しい思い出の方が沢山蘇ってきます。フィンランドで出会った友人とは日本に帰っても連絡を取り続け、いつかはお互いの国で再会をしたいと思っています。また、フィンランドでの思い出はいつまでも私の心を彩ってくれると確信しています。
   留学を終え、来る前は留学することがゴールだと思っていましたが、むしろここからがスタートなのだと感じています。実際に現地に行って価値観や視野が広がり、勉学へのモチベーションが上がりました。ただ留学に来るだけなら誰にでもできるかもしれませんが、その場所で何をするか、留学後どう行動するか、ということがとても大切だと思います。

終わりに

 本当にたくさんの人の支えのお陰で交換留学を無事終えることができました。そしてフィンランドでの様々な体験もかけがえのないものです。ありがとうございました。留学を考えている皆さん、どんどんチャレンジして欲しいと思います!