ラップランド大学 文化創造学科4年 原田裕作 <最終号 2022年5~6月>

 長かったようであっという間に終わったフィンランドでの9か月。日本に帰国した今、色々なことを振り返りながらこの報告書を書いています。この報告書では留学を通して感じたことや学んだこと、最後のヘルシンキでの滞在について書いていこうと思います。

フィンランドでの生活を通して

 フィンランドの生活を初めてからしばらくは、初めて見るものに初めてやることなど、毎日が新鮮でした。しかし、その中にも「知らないこと」や「どうしたらいいのだろう」ということなどの不安も強く、戸惑うような場面もたくさんあったことを覚えています。
 正直、少し生活になじむまでは苦労したこともありますが、悩んだ末、「やっぱり分からないことは全部聞こう!」ということで、身近な先生や友人に片っ端から質問するようになりました。そうするとみんなが丁寧に教えてくれたりするおかげで不安だったものが一瞬でスッとなくなりました。それどころか、その時にサポートしてくれたことをきっかけに仲良くなり、みんなで遊びに行ったりもしました。このような経験を通じて、次第に本当の意味で留学を楽しめるようになりました。
これから留学を考えている人はこの「助けを求めること」を躊躇するのではなく、是非、友達を作るきっかけにしてもらえればと思います!

フィンランドの雪景色の写真

フィンランドでの学び

 僕は派遣先のラップランド大学ではアート&デザイン学部に在籍し、主にファッションをはじめとするデザインの勉強をしていました。ラップランド大学では授業の種類がとても多く、チューターの教授と話し合いながら履修する授業を決めました。県大との共同研究を通じて、僕たちのことをよく知ってくださってる教授が担当になり、日本で勉強してたことと関連付けて、親身に授業プランの相談にのってくださいました。僕が履修した講義については過去の体験記で紹介していますが、デザインの考え方を学ぶものや実践的な技術を養うもの、他にもスケッチのワークショップなどに取り組みました。デザイン関係の授業ではフィンランド人の学生や他の留学生とディスカッションやグループワークをしながら進めていくものも多く、他の人との意見交換や交流はとても良い刺激になりました。
   ここでの講義は指導内容や設備の問題から県大ではなかなか学べないことも多く、とても充実した大学生活でした。

Ana教授の写真
ラップランド大学 Ana教授

最後のヘルシンキ旅行

 前回の体験記でロバニエミを出発し、立ち寄ったヨーエンスという町のことを紹介しました。その後は日本へ向かうフライトまでの一週間の間、ヘルシンキに滞在しました。フィンランドに来てすぐのころにもヘルシンキ旅行をしたので、ヘルシンキをしっかり回るのは二回目でした。ヘルシンキはヨーロッパらしい特徴を持った綺麗な街で、主な観光スポットが中心部に集まっているので、短期間でたくさんのところを見て回ることができます。今回はミュージアムやアアルト大学、近くのマーケットなどを見学しました。また旅行の最中には、フィンランドの祭典である「Vappu(バップ)」を体感することができました。このVappuとは5月1日にフィンランド人が春を感じながらピクニックを楽しむというものです。日本だとだいぶ暖かくなっている頃ですが、冬が長いフィンランドでは5月はやっと雪解けが進み、草木を見ることができる時期です。このような春がきた喜びをみんなで共有します。このお祭りの面白いところは、年齢や性別に関わらず、学生帽をかぶるため、この日は街中の人が学生に見えてきます。

マリメッコの社員食堂の写真
アレキサンダー2世の銅像の写真

留学を考えるみなさんへ

 この体験記を読んでくださっているみなさんの中には留学に興味を持っている人もいるのではないでしょうか?中・長期の留学はハードルが高そうに思われがちですが、交換留学を志すのはそこまで難しいことではありません。実際、僕は以前に一か月短期留学に参加したということだけで、そこから帰ってきたタイミングで当時の学部長に「次は長期留学はどう?」と勧められたことがきっかけでした。ほんの偶然ともいえる些細な出来事から海外での学びに興味をもち、交換留学に応募することに決めました。英語は好きでしたがそこまで語学力に自信があったわけではなく、準備の段階から何度か心が折れそうになったりもしましたが、このように無事に充実した留学を終えることができました。留学を目指す人はそれぞれ違うきっかけや目的があることと思います。少しでもこの交換留学に興味をお持ちなら、是非「興味」のままにするのではなく、ちょっと話を聞こうかな?程度に情報を集めるなど小さな「行動」に移してみることをおススメします!
 そのちょっとしたきっかけが予想を超える経験に変わるかもしれません。

おわりに

 今回は、コロナ渦で海外渡航が難しいと言われる中での留学でした。毎日世の中の情勢が不安定に変わるため、最終的な内定をもらった後でさえも、留学できないのではないか?と不安になり、悩むこともありました。しかし、身近な先生からのサポートもあり、自分ができる準備を頑張ろうと思い続けることができました。このように、情勢的な追い風の中、留学を実現できたのはフィンランドに行くきっかけを作り、サポートしてくださった先生や両親、渡航先の先生や他の留学生など数多くの人の協力があってこそだと強く実感しています。本当にありがとうございました!!今回の留学やその過程で学んだことを大切に、今後の学びにつなげていきたいと思います。