ビショップス大学 国際文化学科3年 平中奈津美 <最終号 2023年5~6月>

ビショップス大学での交換留学を終え、日本に帰国して数週間がたちました。カナダでの生活を思い出して、寂しいという気持ちもありますが、何よりも無事に行って帰ってこられたことに安堵しています。日本での生活のリズムに自分自身を戻しながら、卒業・就職に向けての準備を進めているところです。

帰国準備について、前号に引き続き詳しく記しておこうと思います。まず帰国の際、全ての入国者に対して、「出国前72時間以内に受けた検査の陰性証明書」及び「ワクチンの接種証明書(3回)」のいずれも提出を求められなくなりました。そのため、空港でもパスポート一つで手続きが済み、あとは手荷物を確認する税関で少し並んだくらいでした。またカナダから送った別送品については、その場で黄色の紙を記入して提出しなければならず、そうすればまだ日本に来ていない荷物の関税についての処理が円滑に進むようです。

私が帰国前にやらなければならなかったのは、銀行の口座を閉じることでした。最寄りの支店のカウンターに行き、個人情報等の確認後すぐに手続きが終わりました。カナダで口座を作ると、その場でデビットカードがもらえます。それを使うと、買い物をした時その口座からお金が直接瞬時に引き落とされます。もちろん現金をATMから引き出すことも可能です。私は日本のVISAデビットを持っておらず、持ってきた現金が足りないと判断したため口座開設をしましたが、多少手間と時間がかかりました。カナダの口座を持っていることで支払いが簡易になりましたが、日本からの送金も手数料がかかるので、あまりお勧めはしません。

大学の寮を出る際については、あまり手順はありませんでした。とにかく自分の増えた私物をまとめて、自室を掃除するのが一番大変だったくらいです。出る日にresidence officeに出る旨を伝えに行くか、そこが閉まっている時間ならメールを送るだけでした。バスルームを共有する隣人であるbogmateともトラブルなく、平穏に寮生活を送れたので良かったです。

荷物においては、80Lのスーツケースと段ボール箱一つを大学から送りました。荷物を預けて送り先等を伝えるだけで、あとはすべて職員の方がやってくださるのですが、多少のトラブルが起こりました。段ボール箱の方は4日ほどで日本の家に到着したのですが、同じプランでその2日前に頼んだスーツケースが5月下旬になっても届きませんでした。また大学の運送サービスとメールで連絡を取り続けましたが、運送会社からの返信がなく、なかなか解決のめどが立ちませんでした。原因として予想されたのは、重い荷物にもかかわらず鍵がかかっていて、運送会社側が中身を確かめられなかったため、ビショップス大学に送り返されてしまったということです。

そして六月の初旬に、一か月以上予定から遅れて、やっとスーツケースが到着しました。中身も無事で、追加料金もなかったので安心しました。また、メールでやり取りする中で、鍵の番号を教えていたので、鍵は完全に開いた状態でした。貴重品やすぐに必要なものを入れていなくて本当に良かったです。やはり国を超えて荷物を運ぶと、いろいろトラブルがあるので難しいなと思います。

ちなみに番号式ではなく、鍵を差し込んでロックを外すタイプのスーツケースを日本に送った友人も同じトラブルがあり、鍵本体を数千円かけてカナダに送る必要があったそうです。もし荷物をカナダから日本に送る場合は、貴重品を入れずに、段ボールかすぐに開けられる状態の鞄に入れて送ることを推奨します。

帰国する飛行機に乗る10日ほど前から、アメリカとカナダを行き来して旅行しました。ボストンとニューヨークは申さんと友人の3人で、そこからトロントで東京の他大学からビショップス大学に来ていた日本人留学生と合流しました。どこも移動はバスで一晩です。今回は観光のためにボストンを経由しましたが、モントリオールからはニューヨークまで直通のバスが出ており、値段も片道100ドルほどです。旅費と移動時間削減のために、バスで3泊するという非常に厳しいプランでしたが、旅行中は元気に過ごすことができました。バスでは国境到達時に起こされて一時下車し、駐在の職員に旅の目的等を伝えて通してもらいます。後から知ったのですが、短期間にカナダとアメリカを何度も行き来することはあまり好まれていないようで、国境の建物内でこの先の旅程を事細かに説明する必要がありました。留学先の大学に戻るのではなく、アメリカで乗り換える便を利用して帰国をする予定であったのも関係している気がします。しかし、カナダに最初に来る時のアメリカ乗り換えで、一応ESTA(電子渡航認証システム)を申請して通っていたので、時間はかかったものの問題なく国境を通過できました。アメリカに行く場合はよく確認をしたほうが良いです。またカナダに戻る時は、Study permit(学生ビザ)の所持と提示が必須です。これがあれば比較的容易にカナダに入れます。

ビショップス大学で留学生活を送れたことの大きな利点は、数多くの国から来ている学生たちと関われたことでした。大学の方針もあり、留学生の割合が他の大学と比べて高いです。彼らから出身国の事象を直接聞いたり、仲良くさせてもらったりすることで、見聞きする国際系のニュース一つでも、捉え方が変わりました。日本に帰ってから、あの環境のありがたさを強く実感しています。車を出してくれたり、誕生日パーティーに誘ってくれたりした友人たちの中には、お互いの文化や考え方を交換し合って、新しいものを楽しむ明るい雰囲気がありました。今では日本で色々な国の話題が出るたびに、カナダで出会った人たちの顔が浮かぶので嬉しいです。逆に言えば、私が日本人として、彼ら彼女の中のイメージを多少なりとも作ったことに対して心配もありますが、数多い日本人の一例として、胸を張っていたいと思います。彼らの好意には本当に感謝です。

帰ってきて思うのは、行くまでの準備、留学中を含めとにかく頑張ってよかった、ということのみです。また今後も振り返りをしていく上で、気づきがたくさん出てくると思います。そしてこれからもさらに色々な人と関わって、考え方や捉え方が変わっていくでしょう。それらに対して不安でいっぱいにならずに、できることで自分を前に進めていこうと思えるのは、留学先で得た強さの一つかもしれません。知りえなかった知識や、考えたことをどう抱えて生きていくのかは今後の課題ではありますが、それらを忘れずに、活かしながら、さらに多くのことを吸収していけたら幸せだなと思います。最後になりますが、サポートをしてくれた家族や、支えてくれた人達には、しっかりと感謝の気持ちを返していきます。ありがとうございました。

ビショップス大学の建物
ビショップス大学はカナダの中ではあまり大きい大学ではありませんでしたが、動き回ると意外と距離があります。建物が美しい場所でした。
ビショップス大学の食堂
合わないと感じるメニューもありましたが、自分向けに食材を組み合わせてみたり、ステーションで作ってもらうものが意外とおいしかったりと、8カ月間お世話になった食堂です。工夫をすれば、かなり健康的な食生活がおくれます。
欧米圏にしかないお菓子
欧米圏にしかないお菓子がたくさんあってとても面白かったのですが、帰ってきて、日本のお菓子のほうが自分に合っていると心底実感しました。おいしいものも、もちろんあるので、その辺がお土産になりました。
ボストン茶会事件の船と博物館
ボストン茶会事件の船と博物館です。当時の輸送の箱に似せた、小さな木箱に入ったお茶を買って帰りました。
ニューヨークのメトロポリタン美術館の一角
ニューヨークのメトロポリタン美術館の一角です。行った当時、有名な絵画のブースが改装中であり、少し悔しい思いをしました。もう一度行ってみたい場所の一つです。
トロントでの一枚
トロントは整備された都会の街、という感じでした。旅の締めに、TOEICも受けてきました。ネットから申し込みができますが、モントリオールなどでも受験できます。