ビショップス大学(2018年度交換留学生)国際文化学科3年 村岡誠 <1号 2018年9~10月>


関連ワードで検索する

はじめに

 ビショップス大学に来て、人生においてトップクラスに濃い2ヶ月であり、あっという間の2ヶ月でもありました。今号では出国前の様々な手続き、入国後の流れ、普段の生活など、なるべく詳しく書きます。少し長い文章になるかもしれませんが、多くの方に興味を持ってもらえると嬉しいです。

出国前の準備

 主に3つの手続きを行いました。まずCAQの申請をしなければいけません。CAQとはCerificate of Acceptance of Québecの略でビショップス大学があるケベック州で学生ビザを取得する場合に必要な手続きです。CAQはオンライン申請のあと、いくつかの書類をプリントアウトし、記入して郵送する必要がありますが、書類を送って合否が届くまで2~3週間ほどかかりました。時間がかかったので早めに行うことが賢明だと思いました。申請が認可されると、やっと学生ビザの申請に移ることができます。学生ビザの申請ではCAQの時とはまた違う書類(残高証明書など)を用意する必要があります。指定された書類をウェブページにアップロードして手続き完了です。次に、大学に関する諸々の手続き(入寮や保険等の手続き)です。交換留学が決まると、日本にいる時からビショップス大学から様々なメールが届きます。中には重要なメールも来ます。私はあまり気にしていなくて、いつも岡本さん、横田さんに教えてもらっていました。いくつかの手続きはこちらに来てからできるものもありますが、出国前にやるに越したことはありません。いつもやるべき手続きのアシストを率先して行ってくれた2人には感謝しています。

入国―入寮

 旅行代理店を訪れて、エアカナダの直行便を往復で購入しました。価格は25万円ほどでした。代理店を通さなければ時期によりますが18万円前後で購入できると思います。半日掛かりのフライトでモントリオール空港に着くと、入国審査を行いました。待合室での待ち時間がとても長かったのを覚えています。無事荷物を受け取り、空港を出て、その足で予約しておいたシャトルバスでビショップス大学まで行こうとしましたが、私の予約ミスで大学よりずいぶん手前の停留所で降ろされました。運転手のおじさんに事情を拙い英語で説明すると、気前の良いおじさんは大学まで追加料金なしで送ってくれました。とてもありがたかったです。大学に着くと時刻は深夜0時前でした。そこからは各寮のルームアシスタントがそれぞれの寮まで送ってくれて、無事にチェックインできました。ここからビショップス大学での生活が始まりました。

生活

寮について

 ビショップス大学の学生寮は6つあります。それぞれの寮には特色があり、雰囲気やルールも少し違います。寮はPaterson、Abbott、Kuehner、Mackinnon、Pollack、Nortonとあり、現在、7つ目のMunsterは改装工事中です。私の部屋はMackinnonのシングルルームです。古い勉強机と椅子、ベッドが備わっています。入寮後シーツと枕、掛け布団を学内で買う必要があります。価格はセットで90ドルくらいでした。
 Mackinnonの特徴は一言で言うと、「パーティーハウス」です。パーティーをこよなく愛する者たちの集まりという印象で、週末になると酒を飲みワイワイガヤガヤと騒いでいます。何かのイベント(ハロウィンなど)の週になると、普段とは比べ物にならないほど騒ぎます。特に私のフロア(3階)は活気が凄く、週末にはパーティーによく誘われます。右も左も分からずナーバスになっていた9月は、その対応に困りました。うるさくて最悪な寮だと思われるかもしれませんが、私はすごく気に入っています。確かに彼らは騒ぎますが、クワイエットタイムをちゃんと守る律儀なところもあり、内向的な私に対して話すきっかけを作ってくれるような気さくな人ばかりです。
 またバスルームも綺麗で衛生面は問題ないように感じます。洗濯は地下にランドリールームがあり、洗濯1.5ドル、乾燥1.5ドルほどかかります。しかし3階から地下まで降りるのが億劫で、洗濯乾燥にとても時間がかかるのと節約のために、よく手洗いをします。最近は気温も低くなり、部屋に暖房がついたので、部屋干しでしっかり乾きます。また談話室もあり、勉強やコミュニティスペースとして利用できます。

入寮直後の私の部屋です。ビショップス大学での生活が始まりました。

食事

 学内の食堂(Dewies)を利用しています。食堂利用申請は寮の申請の際に行うことができます。7時30分から23時30分まで営業していて、バイキング形式になっており、様々な料理が提供されています。御飯時はメインディッシュ(肉や魚)が出てきますが、時間帯によっては目ぼしいものがないこともあります。料理のクオリティですが、正直言って高いとは言えません。私は寮申請の際に食堂の利用申請もしたので、営業時間内なら1日に何度でも利用することができます。食堂に行けば、友人がいるので談話や一緒に勉強したりなど、ビショップス大学で一番の交流スペースになっていると思います。ちなみに私は朝食のパンが好きです。


ある日の朝食の写真です。

買い物

 心配だったので、ティッシュや洗剤等の消耗品は多めに持って行きましたが、大学の近くに日用品店があるので、そこで大体のものは揃うと思います。特別なこだわりがなければ、持って行く日用品や消耗品は少なくてもいいと思います。また、スーパーも近くにあります。私は食堂を利用しているのであまり行きませんが、ホームパーティー等の際はそこでお酒や食べ物を買います。
 バスで40分移動すると大きなアウトレットモールがSherbrookeにあります。モールには服屋さんや化粧品店、家電屋など様々な店があり、生活に必要なほとんどのものは揃うと思います。また私はよくインターネットショッピングを利用します。本当に便利ですが、日本よりも到着が遅いです。現在Canada Postがストライキを起こしているので地域によっては遅延や、場合によっては物が届かないこともあるそうです。時間に余裕があるものやお店より安いもの、オンラインでしか手に入らないもの(私の場合コンタクトレンズなど)はインターネットショッピングを利用するほうが便利だと思います。荷物は学内のポストオフィスに届き、メールで知らせてくれます。

ネットワーク環境

 学内全域でWi-Fiが利用できます。場所によっては電波が入りにくく、突然切断されることがたまにありますが、大きな問題はありません。大きなデータをダウンロードするのは、とても時間がかかります。私は学外によく行くことを想定して、出国前に日本の携帯のプランを休止し、オンラインでカナダ全域で利用できるSIMカードの契約をしました(2GB/月40ドル)。週末に出かけることが多ければ、2GBでは足りないかもしれませんが、大半は学内で過ごすので、1ヶ月2GB以内で収まります。

週末、休日の過ごし方

 日本の他大学の学生たちやこちらできた友人たちとホームパーティーや部屋でリラックスした休日を送ったり、ジムに行ったりと週によって変わりますが、周りの方々のお陰で暇のない生活を送っています。たまにモントリオールまで足を運ぶこともあります。日本でいうと、ビショップス大学が山口県立大学で、山口市から博多に遊びに出かけるようなものです。未定ですが、冬休みは岡本さんや横田さんといくつかの都市に旅行することを考えています。


Sherbrookeにて。休日に3人で映画を観に行った帰りです。いつも仲良くしてくれている2人には感謝です。

授業

 授業選びはかなり悩んだのを覚えています。なぜなら、当たり前ですがこちらでは英語が理解できること前提で授業が進みます。ネイティブのスピードに全くついていけない状態の私は何の授業が取れるのかと少し不安になったのを思い出します。一学期最小でも12単位(1科目3単位、週3時間授業)取らなければならず、初めのうちは様々なジャンルの授業を聴講し、よく考えて選択しました。

ESL130 / Business English
 ビジネス英語を学ぶ授業で、海外での就労経験などない私にとって専門的なビジネスマナーを学ぶのは少し難易度が高いです。基礎的な文法や、中には便利なビジネスマナー(電話応対等)が学べるので、フォーマルな場所で知っておくとかっこいいのかもしれません。しかし課題も多く、毎週色々出され、評価されます。その代わりMid-Termはありません。

ESL110 / Introduction to English for Academic Purpose I
 この授業を一言で表すのは難しいですが、ライティングをメインに基本的な英語スキルが学べる内容になっています。I、me等を使う文章をIt等に置き換える練習(personal→impersonal)や代名詞youを排除した作文などを行いました。Mid-Term後はエッセイを書くことが多くなりました。先生はユーモアのある方でいつも易しい英語を使ってくれます。

CHI101 / Introduction Modern Chinese I
 中国語を取った理由は、山口県立大学で1年生の時に学んでいたので、さらに深く学べるのではないかと思い、受講を決めました。当時学んだ部分と重なる部分はありますが、中国語を日本語で学ぶのではなく、英語で理解することでまた変わった視点で物事を捉えているようで面白いです。文法説明も英語による説明なので日本語での文法理解と比べて若干相違があるのも興味深いです。

MUS130 / Rudiments of Music Theory
 授業選択の時、音楽に興味があったので1つは音楽を取りたいと思っていました。音楽も様々な授業があるので色々聴講して、この授業ならできると思ったので選択しました。授業では音楽の基本原理を学びます。ト音記号、ヘ音記号からメジャースケール、マイナースケール、インターバル、トライアドなど専門的な基礎知識を学んでいきます。大きなテストが3つ(1st Mid-Term、2nd Mid-Term、Final Term)あります。今の時点で残すところはFinal Termのみです。先生は少しクセのある方で喜怒哀楽の起伏が激しく、とても話すスピードが速いです。また授業中携帯電話に触れることを断固として禁止されていて、分からない音楽用語を調べられないので、授業内で理解できなかったところは授業後に調べて補います。出題される問は算数のようで一つ一つを音楽理論に従って考えていきます。個人的には興味を持ってとても楽しく受講しています。

行事・イベント (9、10月)

 この2ヶ月間で色々なイベントやアクティビティに参加しました。中でも大学に関係した大きなイベント2つを紹介します。

Orientation Week (9.1-9.8)

 前年度の先輩方が「フロッシュ・ウィーク」と言っていたものと同じものです。いわゆる新入生歓迎週間で様々な催し物があり、上級生リーダーたちがサポートしてくれます。私は1日の夜に到着したので2日から参加しました。参加費は70-90ドルくらいだったと思います。このイベントの参加は任意ですが、ほとんどの新入生や交換留学生が参加します。まずこのイベントはどこかのグループに所属することから始まります。このグループがオリエンテーションで一緒に行動するメンバーとなります。たくさんのグループがあり、それぞれ特色が違います。私が入ったのはお酒、パーティー大好きといったようなグループでした。イベントとイベントの間の空き時間はダラダラとメンバーと話したり、お酒を飲んだりするのですが、緊張で慣れない環境に打ち解けられず内向的になっていました。グループの皆が気を遣って話しかけてくれるのですが、上手くコミュニケーションがとれず苦い思いをしたのを覚えています。次のイベントの集合場所さえも聞き取ることができず右往左往することもありましたが、グループの上級生リーダーたちは最後まで私をサポートしてくれました。


オリエンテーションウィーク中のあるアクティビティです。顔にシェービングクリームを塗ったチームメイトにどれだけ仲間がポップコーンを乗せられるかの勝負です。クリームを塗られているのが私です。

Halloweekend (10.25-27)

 きっとこっちのハロウィンはすごいんだろうなと予想していましたが、案の定カナダに来て一番賑やかだったのではないかと思うほど大きなイベントでした。私の寮でも3日間毎晩大騒ぎでした。私は友人たちと夜にホームパーティーをし、夜中にGaitで午前3時まで踊り明かしました。Gaitは毎週木、土曜に開催される学内のクラブです。私はドラゴンボールのフリーザのコスプレをして、半裸で零下の町を歩くという地獄のような体験をしました。皆の引きつった顔が忘れられません。ビショップス大学で非常に楽しいハロウィンを過ごせました。

さいごに

 たった2ヶ月しか経っていませんが、非常に学ぶことが多い時間でした。大変なこともたくさんあり、己の弱さや劣等感、悪い部分が自分の中で表面化されますが、その度に貴重な経験させてもらっているのだと実感する毎日です。11月、12月はいよいよ秋学期後半です。楽しむことはもちろんですが、より一層気を引き締めて勉学に励んでいこうと思います。