青島大学(2018年度交換留学生)国際文化学科3年 宮本ももこ<3号 2018年7~8月>


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夏休み

 期末テストが終わり、中国を理解するために、自分自身を探すために、子供の頃から夢見ていたバックパッカーの旅に出ました。今回は、自分なりの長期貧乏旅行計画と旅の予習をベースに、中国山东省、江苏省、安徽省、江西省、湖南省、湖北省、河南省に好奇心の赴くまま、各地を放浪しました。日々たくさんの人々と出会いと別れを繰り返しながら、訪れたどの場所でも、その土地ならではの香りを楽しみました。この報告書では、旅の一部を紹介し、読んで下さった方の更なる中国への理解に繋がることを望みます。

旅の予習と準備

 旅に出る際は、自分が行く場所を少しでも予習しておくことが必要です。その場所や地域について知識があると、後悔なく、何倍も素晴らしい時間を過ごすことができると思います。準備するものとしては、大きめのリュックサック、小さめのカバン、約4日分の衣服、タオル2枚、石鹸、自撮り棒、ノートやペン、身を守るための笛などです。私はホスピタリティ・エクスチェンジ・ネットワークを利用し名所をホームステイをしながら旅をしていたので、ホストや行く先々で出会った友人には、日本から持ってきたポストカードを渡していました。

 ここからは、特に印象に残った場所などを紹介します。

1、南京
 青島からバスで10時間ほどの場所に南京はあります。ご存知の通り、南京は日本と歴史的な繋がりがとても深く、中国を訪れるなら、必ずと言ってもいいほど行くべき場所だと思います。約3日間南京に滞在して、中山陵、南京大虐殺記念館、南京博物院、老门东、新街口、上城墙、夫子庙、玄武湖などを訪れました。
 日本人として特に知りたかった南京大虐殺について、その後の南京人の生活や日本人に対する考え方などを、自身の祖母が経験者であるカウチサーファーと知り合い、より理解を深めることができました。この記念館の結論に述べてあったのは、私たちは過去に学び、恨みを継続させるのではなく、平和に対する志向と堅守を喚起させ、日中両国民は、代々友好を続け、歴史を胸に、未来に向かい、共同で人類の平和のために貢献すべきではないかという事でした。日本人としても共感できる内容であり、私たち一人一人の心持ちが、平和な世界を創ると思います。


 私は考古学に興味があり、歴史や文化を理解するために博物館を回るようにしているのですが、南京博物院は今回の旅で訪れた博物館の中で一番よかったです。


 また、南京は発展した大きい都市でありながら、歴史的な景観の残る場所でした。


2、合肥
 ここには、旅好きの集まるネットワークがあり、多くの人々と出会うことができました。ここでのホストは、中国昔ながらの素材を生かした国際青年旅行社を設立することを夢に持つ、エネルギッシュな女性で、初めて会ったとは思えないほど打ち解けることができました。中国人は、日本人より心の壁が薄いように感じます。この出会いも一つの縁(缘分)だと捉え、多くの人々はまるで兄弟のような感覚で、私に良くしてくれました。この感覚は、沖縄の「いちゃりばちょーでー(一度会ったら皆兄弟)」という感覚に近いと思います。


3、南昌
 ここは、中国大革命の出発地点です。多くの若者達が社会のために、自分の命を懸け、強い意志を持って戦っていたという歴史を学ぶことができました。この大革命が終結して、現在までそんなに時は経っていないことに、改めて中国の発展の速さに驚きました。また、革命時に自分たちの未来のために戦っていた人々の写真を見て、彼らのような強さが、今の私たちにあるだろうかと考えさせられました。自分の事しか考えず、小さなことにこだわり、権利の上にただ座っているのではなく、もっと社会のことを考える広い視野を持ち、違う角度から物事を考えることが大切だと思います。社会や未来のことを思うのなら、じっとしていてはメッセージを発信することも、何かを変えることもできません。このような考え方が、今の日本には欠けているのではないでしょうか。
 ここで、ホストを引き受けてくれた女性は、ニューヨークでプロの写真家として活躍する方でした。彼女は、どの女性もみんな輝くに値するという信念を持ち、人の魅力を見出すことに長けている人でした。彼女からとても良い刺激を受け、自分を見つけるためのヒントを得られた気がします。将来、成長してもう一度会いたい人です。


4、张家界
 今まで訪れた場所の中で一番おもしろかったのがこの場所です。张家界は大きな山のある観光地ですが、少数民族が暮らすまだ開発されてない場所で、映画「アバター」のCG撮影に使われた場所でもあります。何百年も昔に造られた道をたどり、もともと5日間ここでハイキングを楽しむ予定でしたが、あまりにも素晴らしかったため7日間滞在しました。毎日4~5万歩歩き、クタクタで道に迷い、大変な思いもしましたが、素晴らしい思い出になりました。



5、洛阳
 唐の都である洛陽には、本当に貴重な遺跡や遺産、文化財など、中国政府により5つ星に指定されている景観がたくさんあります。ここの博物館にも、歴史的に貴重な物が多数展示されており、ぜひまた訪れたい場所の一つです。特に印象に残ったのが、龙门石窟と白马寺です。

 また、ここには中国で一番初めに造られた仏教のお寺があり、それを記念して、インド政府とタイ政府によって建てられたお寺がありました。この3ヵ国の仏教のお寺の違いや風格を見て楽しみました。

中国風格


インド風


タイ風

 加えて、曹操によって祭られた、劉邦の頭が眠る場所などとても素晴らしい場所でした。
 またここでは、中国人の方々とお酒を飲むことがあり、中国人の酒文化を学ぶことができました。中国人にとってお酒とは、友好を深めるためのツールの一つとしても機能していると感じました。

この旅を通して

 この旅を通して、その地域の特色あるローカルフードを食べ、現地に溶け込む力を養う事ができたのではないかと思います。よく、自転車を相棒に、女の子1人で中国を旅行するのは危険じゃないかと聞かれますが、地元の人々といると安全に過ごすことができます。
 中国にある雄大な遺産を見ていると、しばし雑事を忘れて、昔にタイムスリップしたような気持ちを味わうこともできます。
 この旅を終えて思ったことは、中国は広い、世界は広いという事です。どの場所も行くに値し、予期せぬ出会いと発見が待っています。もちろん、旅をしていると自分自身だんだん汚くなってくることやお腹が空いてきたり、疲れたり、トラブルがあったり、中国人や中国の嫌な部分を見たりと、いい事だけではありません。しかし、それ以上に得られるものは大きく、実際に行って、見てみないとその感動や楽しさは分からないと思います。
 また、ホームステイで旅をすることのメリットは大きいです。お金がなくても旅ができて、実際に様々な年齢層の中国人と交流ができ、そして中国人の暮らしを身をもって体験できるという点があります。彼らとの会話を通し、彼らの今持つ悩みや中国社会の問題点などについて考えることもできました。
 この夏休みの収穫を糧にして、最後の学期も頑張っていきたいと思います。