桜の森アカデミー「子育てマイスターコース」 -食育 味覚に関する体験-

「子育てマイスターコース」についてはこちら

 「単元Ⅱ-2心とからだを育てるスキル(2) 食育」の科目では、子どもの食育について受講生が関心を持っていることを互いに紹介し合い、その中で日頃摂りにくい食品や、かむ力を育てる大切さを話し合ったり、食品の安全性や子どもの味覚形成について考えたりします。  9月14日(水)は、「味覚に関する体験」の講座を行いました。講師は本学看護栄養学部栄養学科の大野正博准教授です。

 まず最初に、基本味(甘味・塩味・酸味・苦味・旨味)の識別を行いました。
 5種類の濃度の低い水溶液を口に含み、それがどれに該当するか判別します。環境や感覚・体調に左右されるので、お互いに影響しないように注意しながら行いました。
 濃度が低かったにも関わらず、酸味や苦味の水溶液が他のものより判別しやかったのは、生きていく上で毒性のあるものや腐敗を避けるためではないかと言われているそうです。


 次にオレンジジュースの官能評価を行いました。
 食べ物の味を評価する場合、化学分析・味覚センサーで計測する数値としての評価だけではなく、人間の五感による官能評価も重要です。官能評価は食品の商品開発、安全検査、賞味期限の設定をする場合などに用いられています。
 2種類のオレンジジュースを色・香り・味・総合について自分の好みで評価・コメントし、他人に自分の感じたことをどのように表現すれば伝わるかを考えました。その後、クエン酸・砂糖・オレンジエッセンス・着色料を使い、受講生は自分の好みに合うようにオリジナルのオレンジジュースを作成しました。


 最後は、味覚変革物質の体験を行いました。
 ミラクルフルーツの果肉中の成分を舌の表面全体に付着させ、レモンやプレーンヨーグルト・お酢を口に入れると、それぞれ酸味が甘味に変わり、「レモンはシロップ漬けのようだ。」という感想も聞かれました。
 この体験で、ミラクルフルーツ中のミラクリンの作用によって、酸味物質を甘味物質と認識してしまう味の錯覚が起こることが分かりました。現在この利用方法が様々に研究されているようですが、まだ実用化されていないようで、受講生からは、「お菓子やジュースなどの砂糖の使用量カットや、糖尿病の方への有効利用などが出来ないだろうか。」とアイデアが出ていました。