原爆被爆者のライフヒストリーを追って


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共同研究提案者 (一財)山口県被爆者支援センター ゆだ苑
共同研究研究者 附属地域共生センター 教授 加登田 惠子
研究期間:平成27年度

研究の概要

 1945年、広島・長崎に原子爆弾が投下されてから70年が経ち、被爆者健康手帳保持者は、高齢化の進行により昭和57年をピークに徐々に減少し、現在全国で20万人を切り、山口においても毎年200人程度減少し、現在3,434人(2015年3月現在)となっています。
 戦後70年の間、戦争を体験した世代の人々は、全国各地で自らの体験を若い世代に語り継ぐ活動に取り組んで来られました。しかしながら、前述のように高齢化が進み、次第に「語り部活動」が困難になってきました。そのことに危機感を覚え、原爆被爆者のライフヒストリーのアーカイブ(記録保存)化事業が企画されました。

研究内容

 「機縁法」により、(一社)ゆだ苑の開催する「被爆者の語り部活動」参加者の語りの聞き取りをもとに、山口に在住する原爆被爆者の被爆体験が社会的・歴史的文脈の中で、各自の人生に及ぼした影響と当事者にとっての被爆体験の意味を「解釈的客観主義」及び「対話構築主義」に基づいて分析しました。さらに、語りと聞き取りの相互作用を通じた、異世代コミュニケーションの効果について考察しました。

期待される成果

 原爆被爆者は、それぞれのライフステージにおける強烈な「身体的・心理的外傷」としての被爆体験を基に、その後の戦後の人生を、まさに切り拓いてこられました。多様な生き様の基底をなしているのは、「あの地獄の体験を無駄にしないため」には「二度と繰り返してはならない」ということを伝えなければならないという鮮烈な使命感でした。
 研究報告に基づくアーカイブ作品は、別途『被曝70年平和のバトン~原爆被爆者のライフヒストリーを追って~』(2016年3月15日発行)にまとめました。