やまぐち学研究 公開フォーラム「山口と韓国をつないだ仙崎港の歴史と今」


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 12月13日(日)、「地(知)の拠点整備事業」やまぐち学研究の一環として、フォーラム「山口と韓国をつないだ仙崎港の歴史と今」を開催しました。
 これは、地域住民と本学学生がともに学んでいる「やまぐち韓国研究会」の10周年記念特別企画としても開催したもので、学内から16名、学外から40名の参加がありました。


 今回のフォーラムは、70年前に約41万人の引揚げ日本人を迎え入れ、34万人の朝鮮人を祖国に送り出した仙崎町(現長門市仙崎)の人々や引揚げ体験者の声と、現代の日韓関係を学ぶ学生の発表を題材に、「山口と韓国の友好関係」「大学と地域の学びの協働」について参加者と共に考えながら、山口県と韓国、東アジアの発展的な共生関係を展望するきっかけづくりを目的としています。


 パネルディスカッションでは、本学国際文化学部の安渓遊地教授がコーディネーターを務めました。
 パネリストとして、
  引揚げ体験者の冨山淳子氏、松本茂氏、蕨昭子氏、
  70年前を偲び訪れる人を案内されている仙崎まちなかボランティア・ガイドの坂本和磨氏、
  引揚げを知らない世代に語り継いでいる引揚げ語り部の中谷貞女氏、
  長門市役所観光課職員として引揚げについてネットで発信している宮本裕之氏、
 計6名が登壇し、様々な立場から引揚げへの想いと山口と韓国をつなぐ平和への提言をいただきました。


 その後、やまぐち韓国研究会の代表である宮﨑捷治氏が「山口と韓国:地域学習活動10周年を迎えて」と題し、研究会の活動について紹介されました。

 フォーラムの最後には、歴史といま・未来をつなぐ試みとして、戦争を知らない世代の学生(韓国社会論の受講生)たちが、「私たちが捉える韓国社会」というアプローチで、
 ・県大生が山口の経済活性化をお助けします
 ・韓国人は辛さに強い?日本人は辛さに弱い?
といったユニークな内容の発表を行いました。



 フォーラム全体をとおしてパネリストからは、
「いままで誰にも、親ともこの話をしたことがなかった」
「あれから70年も経過しているが、やまぐち韓国研究会が行っている社会的関心を呼び覚ます、この事件を風化させない、問題を掘り下げるという努力は稀有なことだと思う。」
「今まで仲間がいるということが分からなかったが、そういう人がたくさんおられることが分かって励みになった。」
などと感想が寄せられました。


 また、参加者からは、
「話すのも辛い事だろうが、『いかに大変な苦労をして仙崎まで帰ってこられたのか』という出来事や思いを経験していない人たちに伝えたいという想いが伝わってきた。」
「引揚げに関して何の知識もなかったが、語り部や町歩きを通して引揚げに関わった人に興味を持つようになり、今回のフォーラムでやっと当時の引揚げ事業に想いを馳せることができたように感じている。」
「先の時代の実体験に触れ、想像し教訓をくみ取る作業は、遅ればせながら、これからが本番になるのではないか。今回の取組みはその貴重なモデルだと思う。」
「これまで山口で引揚げの体験をきちんと継承する取組みに出会うことがなかった。学生がたくさんいて、初め自分は場違いなところに来たのではと感じたが、次の世代に記憶をつなぐ良い機会に出会えたと思う。」
などの声がありました。