わたしが研究科長です
みなさん、こんにちは。山口県立大学大学院国際文化学研究科のサイトへようこそ。わたしは鈴木隆泰(すずきたかやす)、当研究科の研究科長です。これからみなさんに、わたしたち国際文化学研究科の魅力と実力を(できるだけ)たっぷりとお知らせしたいと思います。このサイトを訪れて下さったのも何かのご縁。どうか最後までおつきあいください。
国際文化学とは?
問う。「国際文化学ってなにか知ってる?」
答える。「あ、知ってる、知ってる。外国の文化を学ぶ学問でしょう?」
ブーッ。残念ですがこの方は不正解です。実は、結論だけをいうと半分くらいは正解なのですが、先を急がずに、まずは「国際文化学」の定義をご覧下さい。
国際文化学とは、
「この世界にある様々な事象や問題を、文化と文化の関係と捉え、その観点から事象への理解を深め、問題の解決を試みようとする学問」
のことです。英語のIntercultural Studies(インターカルチュラル スタディーズ。舌を噛みそうですね。訳すと「相互文化学」となります)の方が、よりイメージを掴みやすいかも知れません。
この世界
え? 少し分かりにくいですか? うーん、たしかにそうかも知れません。では、例を挙げてみましょう。
たとえば、この世界のどこかの地域でふたつのグループが争っていたとしましょう。そのふたつのグループはお互い、抱える歴史も、政治体制も、経済状況も、宗教も、言語も、民族も、生活スタイルも違います。そのようなとき、歴史学や、政治学や、経済学や、宗教学や、言語学や、文化人類学などに基づいて個別にこの問題を分析することもできるでしょうが、一分野からの分析にはどうしても他の分野からの知見が欠けてしまいます。
このように、複合的な背景を抱えている事象や問題は、どうしても単一分野からのアプローチでは扱いきれない、という特徴を持っています。単一分野からのアプローチには限界があるのです。
そしてこの世の中に、複合的な背景を持たない事象や問題など、まったくないといっても過言ではありません。いろいろな背景が複合的要素として複雑に絡み合ってできているのが、この世界なのです。
種々の人間活動(歴史、政治、経済、宗教、言語、生活等)が複雑に絡み合ってできたものを、「文化」と呼びます。世の中にある様々な事象や問題を、文化(種々の人間活動が複雑に絡み合ってできたもの)相互の関係で総合的に読み解いていく学問、それが国際文化学なのです。先ほどの、「国際文化学は外国の文化を学ぶ学問だ」というのが、結論としては半分くらいは正解だった理由もここにあります。総合的に読み解くには、当然外国の文化(歴史、政治、経済、宗教、言語、生活等)に関する知見も必要になってくるからです。
この世界の抱える問題に多方面からアプローチができるよう、当研究科ではスタッフとして、専門の重なりがないようにと、あえて専門の異なる教員を擁しています。各教員の専門は、こちらの「
教員紹介・教育研究内容」をご覧下さい。
「違いがある」のが前提の学問、それが国際文化学
このように、国際文化学とは「違いがある」のが前提の学問であり、その「違い」を活かしていかに総合的な研究成果が挙げられるかをテーマとしています。ですから、国際文化学研究科の教員も大学院生も、自分の直接の専門のみならず、それ以外の分野についての知見も養う必要があります。また、共感(この「共感」については後ほど述べます)が生み出されるには、みんながお互いの営みを理解しあうことが不可欠です。そのためわたしたちは、教員の研修・研鑚と大学院生の指導、さらには全員の親交・交流・共感の醸成・熟成を兼ねて、「山口国際文化学研究会」という知的な催しを、平成19年度以来32回(平成22年8月現在)開催しています。
この研究会は授業学期中の毎月第4水曜日の夕方に行われる定例開催と、適宜開催される非定例開催とに分かれ、前者の定例開催については、全教員・全大学院生が一堂に会して盛大に行われます。また、全ての研究会は当研究科のみならず、学内・学外に向けて広く公開されており、毎回多くの方々のご参加をいただいています。当研究科の営みに実際に触れていただくには、この山口国際文化学研究会を覗いていただくのが一番手っ取り早いかも知れません。お近くの方は(いえ、遠くの方でもご遠慮なさらずに)ぜひともいらしてください。予約・参加費等一切不要です。予定は随時
こちらでお知らせしています。
「宮野は(あるいは、山口市は/山口県は/日本は)遠くてなかなか行けないや」という方も含め、まずは
こちらをご覧になってみて下さい。平成22年5月26日に定例開催された、本年度第2回(通算30回)の研究会の模様です。報告者は、不肖わたくし鈴木でございます。
終了後は、場所を
山口県立大学地域交流スペースYucca(ユッカ)に移し、報告者も参加者も打ち解けた雰囲気の中で談笑し、議論することのできる第二部会(通称SALON)を開催しています。(SALON参加には実費がかかります)
「個に応じた教育」 ―あなたと同じ人はどこか他にいますか?―
繰り返しになりますが、国際文化学は「世の中には違いがある」ことを前提とした学問です。当然ながら、当研究科で学んだ(過去の)・学んでいる(現在の)・学ぼうとしている(未来の)大学院生にも違いがあります。興味の違い、年齢の違い、出身地・出身県・国籍の違い、社会人経験があるかどうかの違い、得意分野・不得意分野の違いなど、数え上げたらきりがありません。それもそのはずです。世界を見渡してみましょう。あなたに幾分「似た」ような人はどこかにいるかも知れませんが、あなたと同じ人は他のどこにもいません。あなたはあなたであって、あなた以外の何者でもないのです。わたしがわたしであって、わたし以外の何者でもないのと同じように。
わたしたち国際文化学研究科では、この「みんな違う」ことを教職員も大学院生も理解し、「みんな違う」ことを尊重し、「みんな違う」ことに基づいて教育を行っています。それをわたしたちは「個に応じた教育」と呼び、それぞれに異なる大学院生一人一人に対して、「個に応じた教育方法を工夫」することを教員全員の責務とし、実行しています(公立大学法人山口県立大学平成22年度計画No.20)。
〈幸せ〉を感じられるわたしたちの国際文化学研究科
このように考えてくると、もはや「人」自体が、様々に異なる背景を背負ってこの場に存在している「文化そのもの」といってもよいかも知れません。そして人も文化も単体では存在できません。人は人と相互に繋がり合いを求め、文化は文化と相互に繋がり合い(まさに国際文化学!)を求め合うものです。ただし世の中には、相互の触れ合い・ぶつかり合いが、必ずしも共感を生み出すものばかりではなく、ときには反発や怒り、そして憎しみを生み出すこともある、という悲しい現実もあることは忘れてはなりません。その現実を踏まえた上で、どうしたら共感が得られるかを考えていくのも、わたしたち国際文化学研究科の使命の一つです。
人が得られる本当の〈幸せ〉、それはきっと独りでは手に入らず、あなた以外の何者でもないあなたが、他者(わたし以外の何者でもないわたし、も当然入っていますよ)と触れ合い、ぶつかり合い、そして共感が生まれるときにこそ得られるはずだという信念がわたしたちにはあります。あなたが〈いること〉〈すること〉〈したこと〉によって他の方や地域社会が〈幸せ〉になり、他の方や地域社会が〈幸せ〉になることであなた自身も〈幸せ〉になる―国際文化学とはそういう学問です。山口県立大学大学院国際文化学研究科は、そのような国際文化学を学び、実践するところです。
この文章を読むことになってしまったあなたへ
最後まで読んで下さってありがとうございました。冒頭で「わたしたち国際文化学研究科の魅力と実力を(できるだけ)たっぷりとお知らせしたいと思います」といっておきながら、「あれも伝えたい、これも伝えたい」というものをたくさん積み残した気がしてなりません。ただ、少なくとも私たち国際文化学研究科の持っている〈ほんとうに大切なもの〉は、何とかお伝えできていれば嬉しいです。
もし、今あなたが「学びたい」と少しでも思っているにもかかわらず、
「就職しようか、それとも進学しようか」と迷っていたり、
「進学するならうちの院か、それとも他か」と迷っていたり、
「この歳で学ぶなんておかしいだろうか」と躊躇していたり、
「大学を出ていないのに、大学院なんてとんでもない」と考えていたり、
「仕事(家事、子育て等も当然含む)と両立できるだろうか」と悩んでいたりするならば、
あーっ! 二度と戻ってこない時間だというのに、迷ったり、悩んだり、考えていること自体がもったいない!! 時間もいのちも有限ですよ!
まずは、わたしたち教員、そしてなにより、現在学び、実践している大学院生の活き活きとした姿を見にいらっしゃい。来て、見て、話しをしてみて、もし「ここ、いいかも」と思えたら、それはあなたに、真剣にうちへの進学を考えてみる時が来たことの印(しるし)です。
〈幸せ〉になりたければうちにいらっしゃい。一緒に〈幸せ〉になりましょう。
また、「いま、わたしは〈幸せ〉です」というかたもどうぞうちにいらっしゃい。お互い、もっと〈幸せ〉になりましょう。
平成22年8月20日
山口県立大学大学院国際文化学研究科長
博士(文学)
鈴木隆泰